処理水放出 ホタテなどの輸出ルート開拓など対策検討へ 北海道

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出が始まり、中国が日本からの水産物の輸入を全面的に停止したことを受けて、北海道は、道内からの輸出のほとんどを占めるホタテなどへの影響が懸念されるとして、新たな輸出ルートの開拓など、必要な対策を検討することになりました。

中国が日本からの水産物の輸入を全面的に停止したことを受けて、29日、北海道や札幌市、それに水産物の加工や流通団体の関係者など、およそ20人が集まり、輸出への影響や対策について意見を交わしました。

はじめに、道の近藤将基水産局長が「中国は道産水産物の最大の輸出先であり、水産物が国内に滞留して価格が下落するなど、漁業だけでなく、流通や輸出など多くの分野で甚大な影響が懸念される」とあいさつしました。

道によりますと、去年道内の港から海外に輸出された水産物の総額は833億円で、このうち中国向けが532億円と全体の6割以上を占めています。

会議では、中国向けの輸出のほとんどを占めるホタテや高級食材として人気のナマコの価格がすでに下落していて、今後の影響が懸念されるといった意見が相次いだということです。

岸田総理大臣は、今週中に政府として水産事業者の支援策を説明する考えを示していて、道は国の動向を踏まえながら、輸出促進に向けた新たな流通ルートの開拓や、国内での消費を拡大するための振興策など、必要な対策を検討することにしています。