大谷翔平 指名打者出場 ネビン監督 “手術は大谷自身が判断”

右ひじのじん帯を損傷した大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手は25日、メッツ戦に指名打者で先発出場し相手先発の千賀滉大投手からツーベースヒットを打ってチームの連敗ストップに貢献しました。

試合前に取材に応じたエンジェルスのネビン監督は、大谷選手について当面、指名打者で出場を続けながら、今後、手術を受けるかどうかは大谷選手自身が判断すると話しました。

右ひじのじん帯を損傷した大谷選手はチームとともに遠征先のニューヨークへ向かい25日、メッツ戦に臨みました。

大谷選手は2番・指名打者で先発出場し、ここまで10勝6敗としているメッツの千賀投手と大リーグで初めて対戦しました。

大谷選手と千賀投手の対戦は2人がプロ野球の日本ハムとソフトバンクに所属していた2017年以来で、これが6年ぶりです。

最初の打席は1回、大谷選手が千賀投手の150キロ台の力強いボールを見極めてフォアボールで塁に出ました。

第2打席は3回、ノーアウト一塁の場面でワンボール、ツーストライクと大谷選手が追い込まれたあと4球目のカットボールをとらえました。

ライトの頭上を越える痛烈な当たりは打球速度185.7キロをマークしました。

大谷選手の今シーズン23本目のツーベースで、チャンスを広げたエンジェルスはこの回、2点を先制しました。

2対1でエンジェルスが1点リードの5回、3打席目の対戦は再びフォアボールでした。

大谷選手と千賀投手の対戦は大谷選手が3打席すべてで出塁しました。

このあと7回途中に千賀投手がマウンドを降りたあと、大谷選手の8回の第4打席はファーストゴロ、9回の第5打席は申告敬遠のフォアボールで、この試合は2打数1安打フォアボールが3つでした。

大谷選手は連続試合ヒットを「3」に伸ばし打率を3割5厘としています。

一方、千賀投手は3回に2点を失ったものの、その後、追加点を許さず7回途中2失点で交代しました。

球数は105球、打たれたヒットが4本、フォアボール3つ、デッドボールが1つ、三振は、ふた桁の10個でこのうち8つは得意のフォークボールで奪いました。

試合はエンジェルスが9回、貴重な追加点を奪って3対1で勝ち連敗を「4」で止めました。

敗れたメッツの千賀投手が負け投手となって今シーズンの成績は10勝7敗となりました。

ネビン監督 “手術は大谷自身が判断”

25日のメッツ戦の前に取材に応じたネビン監督は、大谷選手の右ひじのけがを受けて「こうしておけば良かったと思うことはあるか」と問われ、「選手がけがをする度に何か違うことができなかったのかといつも思うものだ。ただ、翔平に関しては一平やトレーナーと常に話をしてきて、痛みも無かったし翔平自身も『ただの疲れ』と言っていた。人々はいろんな臆測をするがそれらは真実ではない」と大谷選手の状態に細心の注意を払ってきたと強調しました。

その上で「登板をいったん飛ばした後もブルペンでのピッチングはすばらしかったし、調子もずっと良かった。残念ながらけがをしてしまったが、けがは野球の一部だ」と沈痛な面持ちで話しました。

今後、大谷選手が手術を受けるかどうかについては「それは彼に対する質問だ。時が来たら、彼自身が正しい判断をすると確信している」と話し、大谷選手に判断を委ねるとした上で、指名打者としての出場で右ひじのけがが悪化することはないという考えをあわせて示しました。

また、エンジェルスのミナシアンゼネラルマネージャーは大谷選手の代理人を含めて話を続けているとしたうえで「別の医師の意見を聞いていて、今後の計画を立てている段階だ。明らかに特別なシーズンを過ごしていて、彼自身がやめると言うまでバッターとしてのプレーは続けると思う」と話しました。

報道陣からは大谷選手以外にもけが人が相次いでいるエンジェルスの管理体制を問う声もあり、今月15日に右腕の疲労で先発登板を回避した際に検査を行ったのかという質問に対して、ミナシアンゼネラルマネージャーは「検査はしていない。腕に問題はなく、疲れがあっただけだ。けいれんや脱水症状だった」と答えていました。

大谷と対戦の千賀「反省すること すごく多い」

千賀投手は試合後、大谷選手との対戦について「すごいバッターというのは日本の時から変わらない。対戦はすごく楽しみな部分はあったが、きょうは自分を操るのにすごく時間がかかってしまった。全体的にミスのボールも多かったので、反省することはすごく多い」と振り返りました。

大谷選手の右ひじのけがについては「僕だけじゃなくて野球を好きな人全員がショックな出来事だと思う」とした上で、「正直、投げ方や出力もやっぱり本来の彼とは少し遠い部分があったと思う部分はあったので、どこかけががなければいいなと思っていた」と話し、最近のパフォーマンスに違和感を感じていたことを明かしました。

そして「ほかの誰と比べても参考にならないくらい、彼は違うスポーツをしているという感じなので、どれほど疲れていたのかは本当にわからない。彼なら乗り越えていってくれると思うので、うまくいってほしいと思っている」と心配そうに話していました。

トラウト “大谷のけが悲しいが、二刀流復帰できる”

大谷選手のけがについて、シーズンMVP=最優秀選手を3回受賞しているエンジェルスのトラウト選手が取材に応じ、「けがのことを聞いたときは打ちのめされた。彼のことを思うと本当に気の毒だし、悲しい。彼にとってはもちろん、チーム、ファン、そして野球界にとっても本当にタフなことだ」と心境を明かしました。

そのうえで、「長いシーズン、毎日プレーすることは本当に大変なことだ。彼はことし2試合しか休んでいないし、5日おきにピッチングもしていた。あれだけハードに投げれば体への負担は大きい」と今シーズンの大谷選手のフル回転ぶりを振り返り、報道陣から「大谷選手が二刀流として復帰できると思うか」と問われると「間違いなくできる」と答えていました。

トラウト選手は自身も22日の試合で左手の有鉤骨の骨折から50日ぶりに復帰したものの痛みが再発し、わずか1試合で再び10日間のけが人リストに入るなど苦しんでいます。

自身の状態については「翌日に痛みが出たが、今シーズン中にまた復帰したいと思っている」と意欲を見せていました。

ヌートバー「きっとより強くなって帰ってくる」

ヌートバー選手は25日のフィリーズ戦の後にNHKの取材に応じ、「友人として本当に悲しいし、最悪だ。野球界にとっても悲しいことだ。翔平が交代したと聞いて、すぐに通訳の一平にメッセージを送って無事を願っていたが、その後けがのニュースが出た。本当に残念だ」と話しました。

その上で「でも、彼はスーパーヒーロー。きっとより強くなって帰ってくると思う。より良い復活劇となって、彼の魔法のようなパフォーマンスがより魅力的なものになるはずだ」と話し、投打の二刀流での復帰を強く願いました。

また現在、下腹部の打撲でけが人リストに入っている自身の状態については「毎日良くなっている。最短で復帰できるかはまだ分からないが、希望を持っている」として最短で27日からの復帰を目指していました。

ヌートバー選手はWBC日本代表の1番バッターとして優勝に大きく貢献し、3年後に行われる次回の大会出場を大谷選手と約束して腕時計を贈られるなど交流が続いています。