フィリピン軍とオーストラリア軍が初の離島奪還演習 連携強調

フィリピン軍とオーストラリア軍が離島の奪還作戦を想定した初めての上陸演習を南シナ海に面したフィリピン軍の演習場で行いました。海洋進出を強める中国を念頭に安全保障面での連携を強調するねらいがあるとみられます。

上陸演習は25日、南シナ海に面したルソン島西部の海軍基地の演習場で行われ、フィリピン軍とオーストラリア軍からあわせておよそ2000人が参加しました。

フィリピン政府によりますと両軍が離島の奪還作戦を想定した上陸演習を行うのは今回が初めてで、アメリカ海兵隊の協力を得て実施したということです。

演習では沖合にオーストラリア海軍の強襲揚陸艦が展開する中、海兵隊の合同部隊が水陸両用車で浜辺に上陸しました。

また、パラシュート部隊やアメリカ海兵隊の輸送機、オスプレイも演習に参加し、海と空から陣地を奪還する手順を確認しました。

会場には、フィリピンのマルコス大統領がオーストラリアのマールズ国防相とともに視察に訪れ、演習後の共同声明によりますと両国は今後、フィリピンが中国との間で領有権を争う南シナ海で合同パトロールを実施することや戦略的パートナーシップを締結することなどを確認したということです。

フィリピンとオーストラリアは来月8日にマニラで首脳会談を予定していて、今回の演習では南シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に安全保障面での連携を強調するねらいがあるとみられます。

南シナ海でフィリピン・中国間で緊張高まる

南シナ海では今月、フィリピン軍の補給活動を行った輸送船や巡視船が中国海警局の船から放水銃を発射されるなどの妨害を受け、両国間で緊張が高まっています。

フィリピン側は現場が自国の排他的経済水域にあたるとして1999年以降、古い軍艦をわざと座礁させ軍事拠点に活用していますが、兵員への補給が欠かせないため中国による妨害を非難しました。

一方、中国側はフィリピン軍の補給活動には軍事拠点を補強するための建設資材が含まれていたと主張しているほか、古い軍艦の撤去を求めていて、譲らない構えをみせています。