大谷翔平 二刀流で44号ホームランも緊急降板 右腕の疲労で

大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が、23日、レッズ戦に先発ピッチャー兼2番・指名打者で先発出場し、1回の第1打席で初球を打って4試合ぶりとなる今シーズン44号の先制ツーランホームランを打ちました。

大谷選手はあと2本でシーズンMVPに輝いた、おととしの自己最多ホームラン数、46本に並びます。

2回に緊急降板 右腕の疲労で

大谷選手は1回に先制のツーランホームランを打ったあと、2回にピッチャーとして1アウトを取った場面で、みずからベンチにサインを送り、わずか26球でマウンドを降りました。

大谷選手が2回途中でマウンドを降りるのは今シーズン最短です。

球団によりますと、大谷選手は右腕の疲労を理由に交代したということです。

3回にまわった大谷選手の第2打席では、新人のシャニュエル選手が代打に送られ、大谷選手はバッターとしても交代しました。この試合1打数1安打2打点で打率が3割5厘となりました。

NHKの中継映像では、通訳の水原一平さんが大谷選手のバットを持ってベンチ裏に下がる様子も確認されました。

大谷選手は今シーズン10勝目をあげた今月9日のジャイアンツ戦に登板したあと、右腕の疲労のため16日に予定していた先発登板も回避していて、この日のレッズ戦は中13日での登板でしたが、再び右腕の疲労で、試合の序盤で交代することになりました。

大谷選手はピッチャーとして1回と3分の1イニングを投げて無失点、打たれたヒットはなく、2奪三振、フォアボール1つという内容でした。

大谷選手の代わりには、左腕のアンダーソン投手が急きょマウンドに上がりました。試合はエンジェルスが4対9で敗れ、3連敗となりました。

球速は平均を下回る

大谷選手がこの試合の初球に投げたストレートの球速は自身のシーズン平均の155.9キロより10キロ近く遅い146.2キロでした。

ストレートはこの試合の最速でも151.9キロにとどまるなど160キロに迫る大谷選手の剛速球は影を潜め、そのほかの変化球も球速や回転数がシーズンの平均を下回りました。

こうしたデータからも、この試合で大谷選手が腕を強く振れなかったことは明らかで、体の異変を感じた大谷選手は今シーズン最短の2回途中でマウンドを降りました。

かぶとパフォーマンス 通訳・水原さんが代役

大谷選手の44号先制ツーランホームランは今シーズン8勝をあげているレッズの先発左腕、アボット投手が投げた初球の149キロのストレートを完璧に捉えた当たりでした。

強烈なライナーでライトスタンドに運び、大リーグの映像解析を行う「スタットキャスト」によりますと飛距離は134.7メートル、打球速度は186.2キロでした。

大谷選手はピッチャーとしての準備があるためホームランを打ったあとはすぐにベンチ裏に下がり、代わりに通訳の水原さんが恒例のかぶとをかぶるパフォーマンスをしてチームメートとハイタッチを交わす場面もありました。

大谷選手が先発登板した試合でホームランを打つのは今月3日のマリナーズ戦以来、今シーズン7本目で、ホームラン王争いでは2位につけるホワイトソックスのロバートJr.選手との差を11本に広げました。

ネビン監督「痛みはない」

エンジェルスのネビン監督は、ダブルヘッダーの第1試合を終えたあと取材に応じ、2回途中でマウンドを降りた大谷選手について、球場で医師の診察と検査を受けていることを明らかにした上で、右腕の状態について「痛みはない」と強調しました。

試合前には大谷選手に変わった様子は見られなかったとしていて、2回に球速が低下した様子を見て「いつものキレがないと感じ、投げた後の表情も気になったので、マウンドに行って状態を確かめようと思った」とということです。

ネビン監督は、この日の試合前の取材で報道陣から「この試合で大谷選手の登板に制限はあるか」と問われた際には「ない。きょうは通常の先発登板だ。登板を1回飛ばしただけなので、心配していない」と話していました。

大谷選手は2018年に受けた右ひじのトミー・ジョン手術から復帰した2020年の8月にも、試合中に右腕の違和感を訴えて2回途中でマウンドを降りたことがあります。

この時は精密検査の結果、ひじの近くの筋肉に炎症が見つかり、投球の再開には4週間から6週間が必要だとして、その後はマウンドに上がらず、ピッチャーとしてはシーズンを終えました。

第2試合は指名打者で先発出場 ツーベースヒット1本

大谷選手は、レッズとのダブルヘッダー第2試合に指名打者で先発出場し、ツーベースヒットを打ちました。

大谷選手は23日、本拠地アナハイムで行われたレッズとのダブルヘッダーの2試合に出場しました。

第1試合に投打の二刀流で出場した大谷選手は、1回に44号ホームランを打ったあと、2回の途中で急きょマウンドを降り、次の打席でバッターとしても交代しました。

その後、大谷選手はダブルヘッダーの第2試合にも2番・指名打者で先発出場し、1回の第1打席はノーアウト一塁の場面でサードゴロでした。

2回の第2打席は、1点を先制した直後なおも2アウト一塁二塁とチャンスが続く場面で、低めの変化球にうまく合わせてライナー性の鋭い打球を飛ばしましたが、相手センターの好守備に阻まれ、追加点につながりませんでした。

このあと逆転され、1対4で迎えた5回、1アウト一塁で大谷選手に第3打席がまわり、初球のカーブを引っ張ってライト前に運び、持ち味の俊足も生かしてツーベースヒットとしました。

そして、4番のレンヒーフォ選手のタイムリーヒットで大谷選手も二塁から一気にホームにかえり、この回、2点を奪い返して3対4と追い上げました。

大谷選手は、7回の第4打席で空振り三振、9回の第5打席はセカンドゴロとなって、この試合5打数1安打で、打率が3割4厘となりました。

エンジェルスは第2試合も3対7で敗れて、4連敗となりました。

今シーズンの通算成績も61勝67敗となって、負け越しが「6」に広がりました。