牛襲うヒグマ「OSO18」を駆除と発表 北海道

北海道は、これまでに60頭余りの牛を襲った、OSO18(おそ・じゅうはち)と呼ばれるヒグマが駆除されたと発表しました。

北海道釧路総合振興局は22日午後、記者会見し、先月30日の午前5時ごろ、釧路町仙鳳趾村の放牧地で許可を受けたハンターが駆除したヒグマが、OSO18だと特定されたと明らかにしました。

ヒグマは、先月28日に初めてこの放牧地で目撃され、人を見ても逃げないためハンターが有害だと判断し、駆除したということです。

当初はOSO18かどうか分からなかったものの、DNA鑑定の結果、今月18日に特定されたということです。

体長は2メートル10センチ、名前の数字の由来ともなった前足の幅は、想定していた18センチではなく20センチあり、体長などから体重は330キロと推定されるということです。

釧路町に隣接する標茶町と厚岸町では、4年前からことし6月にかけて、放牧中の牛あわせて66頭が襲われ、このうち32頭が死ぬ被害が出ていて、いずれもOSO18による被害とみられています。

釧路総合振興局の杉山誠一部長は「多くの被害を出してきた個体だったため、安心して営農ができる環境を取り戻せてほっとしている。今後、このような個体が発生しないよう関係団体と協力し、個体数の調整や出没対策などを進めていきたい」と話していました。

被害受けた酪農家からは安どの声

OSO18による被害を受けた地元の酪農家からは、駆除を受け安どの声が上がっています。

標茶町中チャンベツ原野で酪農を営む佐藤守さんは、4年前とおととし、放牧中の牛あわせて5頭が襲われ、このうち3頭が死にました。

佐藤さんは「ことしに入り、今までとは違う襲い方や行動を不気味に感じていた。友人から朝3時半ごろ『捕獲されたようだ』と連絡があり、ほっとした」と話していました。

佐藤さんは被害を受けたあと、クマが近づかないよう、夜間にラジオを大音量で流すなど対策を講じてきたということで「また同じような行動をとるクマが出てきたら大変だ。このまま対策は続ける」と話していました。

北海道釧路町 小松町長「一安心している」

OSO18が駆除された北海道釧路町の小松茂町長は「標茶町と厚岸町の被害が甚大で、今回もし捕獲されなければ、釧路町内の生産者の牛も襲われかねなかった。非常によかったと思うし、一安心している」と述べました。

また、駆除したのが、有害鳥獣駆除の許可を受けたハンターで、町の農林水産課の職員であることを明らかにしたうえで「よくぞやってくれたという思いだ。当初、本人はOSO18だと思っていなかったが、結果としてそうだと分かり驚いていた」と話していました。