タクシー運転手の名前や顔写真 車内掲示義務なくす SNS拡散で

タクシーなどで車内に掲示されている運転手の名前や顔写真がネット上で拡散される事例が相次いでいることから、国土交通省は、今月から車内に名前などの個人情報を掲示する義務をなくしています。

タクシーや路線バスでは、運転手本人が乗務していることが確認できるよう、これまで名前や顔写真が表示された「運転者証」などを掲示することが義務づけられていました。

ところが最近になって運転手の対応への不満などを理由に、乗客が「運転者証」の個人情報をスマートフォンで撮影し、ネット上に掲載する事例が起きていました。

東京に本社がある大手タクシー会社でも、運転手の同意を得ずに撮影された「運転者証」がSNSで拡散される事例がこれまで複数、確認されているということです。

この会社の牛久恭文社長は「運転手は車内で乗客に背中を向けているため写真を撮影されやすい。女性や若い人の採用に力をいれているが、そうした人はSNSでの拡散に脅威や怖さを感じている」と話していました。

こうした事態を受けて国土交通省は、今月から名前や顔写真などを「運転者証」に記載する義務をなくしています。今後は運転手に割り振られた番号が記載され、忘れ物があった場合などはこの番号や領収書から乗車した車両を確認できます。

国土交通省は、こうした対応で運転手が安心して働ける環境を整え、運輸業界のドライバー不足の解決にもつなげたい考えです。