高校野球 土浦日大高が八戸光星に勝利 春夏通じ初のベスト4

夏の全国高校野球、大会12日目、準々決勝の第2試合は、茨城の土浦日大高校が青森の八戸学院光星高校に9対2で勝って、春夏通じて初めてのベスト4進出を決めました。

土浦日大高は3回、3番の後藤陽人選手のタイムリーヒットと5番の松田陽斗選手の2点タイムリーヒットで3点を先制しました。

3対2と1点差に迫られた直後の6回には8番・鈴木大和選手のスクイズで1点を追加し、さらに満塁で2番の太刀川幸輝選手が走者一掃のタイムリースリーベースを打つなど一挙5点を奪って突き放しました。

そして9回には松田選手のソロホームランで追加点を奪いました。

投げては今大会初先発の伊藤彩斗投手とエースの藤本士生投手の投手リレーで八戸学院光星打線を2点に抑えました。

土浦日大高は9対2で勝って春夏通じて初めてのベスト4進出を決めました。

八戸学院光星は4回と5回に内野ゴロの間に1点ずつ返し、1点差に迫りましたがチャンスでヒットが出ず、投手陣もここまで好投を続けていた洗平比呂投手と岡本琉奨投手がともに打たれ、11年ぶりのベスト4進出はなりませんでした。

土浦日大高 学校で生徒や保護者が応援

土浦市にある土浦日大高校では、選手たちを応援しようと、生徒や、土浦日大と書かれた赤色のTシャツを着た在校生の保護者などおよそ70人が集まりました。

生徒や保護者は、メガホンをたたきながら応援し、3回に3点を先制すると、会場から大きな歓声があがりました。

そして、6回に5点をあげると、大きな歓声ともに、周りの人たちと思わずハイタッチする姿もみられました。

そして、両手をあわせて祈るように見つめる生徒もいるなか、藤本士生投手が最後のバッターを打ち取ると歓声をあげながら喜び、生徒たちは校歌を一緒に歌っていました。

1年生の男子生徒は、「無事勝利できてよかった。藤本投手はとてもかっこよかった。優勝旗を持って帰ってきてほしいです」と話していました。

3年生の選手の多くに、昨年度、日本史を教えていた吉田梨奈教諭は、「選手たちは授業中の様子と違ってかっこよかったです。優勝までつき進んでほしいです」と教え子たちの活躍をうれしそうに話していました。

八戸光星 父の思いを託された洗平比呂投手

この夏、八戸学院光星高校の「背番号1」を背負ったのは、最速147キロの2年生の左腕、洗平比呂投手です。

青森大会では同じく2年生の岡本琉奨投手が「背番号1」をつけていましたが「厳しい戦いの中でチームの勝利を導く真のエースになってほしい」という仲井宗基監督の期待のもと、甲子園では洗平投手がエースナンバーをつけることになりました。

その期待に応え、初戦で完封勝利を挙げると、3回戦はリリーフで好投し、ここまで無失点と安定感のあるピッチングを見せ、準々決勝は先発のマウンドを託されました。

アルプススタンドには洗平投手の父親でプロ野球・中日元投手の洗平竜也さんも応援に駆けつけていました。

竜也さんは、1994年に光星学院に入学し、1年生からエースとして活躍しましたが、3年連続で青森大会の決勝で敗れ、甲子園に行くことはできませんでした。

その思いを子どもに託し、洗平投手に名付けた名前が「比呂」。

甲子園について描かれている野球漫画が由来となっています。

竜也さんは洗平投手が小学生の頃から投球フォームやマウンドでの立ち居振る舞いなどを教えていたと話します。

幼い頃の洗平投手について「天真爛漫な子でみんなに分け隔て無く接していました。性格は今も変わらないと思いますが、昔からとにかく野球が好きでよく兄と家の近くの公園でキャッチボールをしていました」と教えてくれました。

その“天真爛漫”だった息子は、母校のエースとして夢の甲子園のマウンドに。

準々決勝の試合前には「ストレートと変化球の緩急で相手打線を抑えてくれると思います。焦ることなく自分のピッチングをしてほしいです」と期待を込めて話していました。

しかし、この試合、洗平投手はコントロールに苦しみました。

四死球5つとリズムを崩して5回3失点でマウンドを降り、チームを勝利に導くことはできませんでした。

試合後、洗平投手は「悔しいが自分の実力不足です。まだまだ自分のボールは通用しないとこの甲子園で感じました。今後、この悔しさをばねに練習して、チームを勝たせることができるピッチャーになり、来年もこの場に戻ってきたいです」と強く誓っていました。

敗れたものの甲子園のマウンドでたくましく成長する息子を見守り続けた竜也さんは「暑い中、よく頑張ったと思います。これからも次の目標に向けて頑張ってほしいです」と誇らしげに話していました。

《両チーム談話》

土浦日大高 太刀川幸輝選手「やることをやれた」

土浦日大高校の太刀川幸輝選手は、6回に右中間に3点タイムリースリーベースヒットを打った場面について、「満塁で打順が回ってきて、硬くなってもしかたないなと思ったので、ストレートを振っていこうと決めていたところ、ストレートが真ん中に来たのでそれを振り抜けたのかなと思っています」と振り返りました。

そして「甲子園に来てから徹底している対策が、左ピッチャーに対しては右中間方向に打つことだったので、やることをやれたなと思っています」と話していました。

準決勝に向け「このために冬から準備してきたので、茨城大会から徹底している一戦必勝。目の前の試合をどう勝つかという今までどおりの考え方でやっていきたいです」と意気込みを語りました。

土浦日大高 後藤陽人選手「つないでいくことだけを意識」

3安打2打点と活躍した土浦日大高校の後藤陽人選手は、先制点をあげた場面について「後ろにつないでいくことを一番に心がけて、あとは何としても食らいついていくという気持ちで打席に入りました。自分が決めたいという思いはなく、チームとしてつないでいくことだけを意識していたので、打ててよかったです」と話していました。

準決勝で対戦する慶応高校については「打線が今大会でトップレベルだと思います」と話しました。

その上で、「まずは自分たちのバッティングをしっかりやっていきたいです。チームの状態はいいですし、一戦必勝で目の前の試合を勝っていきたいと思います」と意気込みを語りました。

八戸学院光星 中澤恒貴主将「隙につけこまれた」

八戸学院光星のキャプテン中澤恒貴選手は「自分たちの野球をすることができなかったです。3回はフォアボールやエラーから3点をとられた。自分たちの隙につけこまれて、防げるところも多くありましたが、防ぐことができなかったです」と敗因について話しました。

また、点差が広がった6回の場面については「『諦めたら勝ち目がないので沈む気持ちを断ち切っていこう』と選手たちに声かけをしました」と話していました。

先発した2年生エースの洗平比呂投手と同じく2年生で、6回からマウンドに上がった岡本琉奨投手については「2年生の2人は本当によく頑張ってくれたので感謝のことばをかけたいです。来年もあるのでことしの結果を超えてほしいです」と話していました。

八戸学院光星で野球をしてきたことについては「野球だけでなく人間性も学ばせてもらいました。学んできたことを今後にいかしながらプロの選手になるために努力していこうと思います」と話していました。

八戸学院光星 洗平比呂投手「まだまだ自分のボール通用しない」

先発した八戸学院光星のエース、洗平比呂投手はきょうの試合の敗因について「フォアボールが多いのとボールが少し高かったところです。去年の成績を超えることはできましたが、まだまだ自分のボールは通用しないと感じました。マウンドでの立ちふるまいや球の質、それにコントロール今後しっかり追求していかないといけないと思いました」と話していました。

今後について「チームを勝たせるピッチングをすることが一番だと思うので、この悔しさをばねに今後も練習していきたいです」と話していました。