政府 来週に関係閣僚会議 速やかに処理水放出で調整

東京電力福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、岸田総理大臣はアメリカ訪問からの帰国後、ただちに原発を視察した上で、来週中に関係閣僚会議などを開き、できるだけ速やかに放出を始める方向で調整に入りました。

福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐって、政府は先月初めにIAEA=国際原子力機関から「国際的な安全基準に合致している」と結論づける報告書が出されたことも踏まえ、具体的な放出開始の時期を検討してきました。

複数の関係者によりますと、岸田総理大臣はアメリカ訪問からの帰国後ただちに福島第一原発を訪れ、施設の準備状況などを視察することにしています。

また全漁連=全国漁業協同組合連合会や福島県漁連の幹部らに放出への理解を改めて求めるため、21日にも面会したいと呼びかけているということです。

そして政府は、来週中に関係閣僚会議を開いた上で、できるだけ速やかに処理水の海への放出を始める方向で調整に入りました。

処理水の放出をめぐって国内では、西村経済産業大臣が地元の関係者らに対し、安全性の確保や風評対策を徹底する方針について説明を続けてきました。

また海外では、今月閉会したNPT=核拡散防止条約の準備委員会で、欧米やアジアなど10か国以上から日本やIAEAの取り組みに理解と支持が表明されたということです。

政府としては、こうした国内外での説明の状況なども踏まえ、放出に向けた調整に入ったものとみられます。

ただ、漁業関係者は放出に反対する姿勢を示しているほか、周辺国では中国が「汚染水」という表現を使って反発し、日本からの水産物の輸入について規制強化を示唆していて、日本政府は今後も国内外への情報発信を続け、理解を求めていく考えです。