台風7号 18日の被災地 災害復旧に向けた動きも

15日、近畿を縦断した台風7号の影響で、中国地方や近畿、東海などで記録的な大雨となり、各地で浸水などの被害が相次ぎました。断水などの影響が続いているところもあるほか、被災地では災害復旧の動きが出ています。

被災地の18日の動きをまとめました。

鳥取 三朝町 被害があった温泉旅館で後片づけ

鳥取県三朝町の三朝温泉の旅館では、台風7号の大雨で川が増水した影響で、川沿いにある露天風呂に土砂が流れ込む被害が出て後片づけの作業に追われています。

三朝町の三朝温泉にある旅館「大橋」では、台風7号の大雨で三徳川が増水した影響で、川沿いにある露天風呂に土砂が流れ込み、板でできた壁が壊されるなどの被害が出ました。旅館は、17日から19日にかけて3日間、営業を休止して後片づけの作業に追われています。

暑さが続く中、旅館の従業員およそ10人が露天風呂に流れ込んだ土砂や木をスコップを使って取り除いていました。この旅館では、台風7号の接近に伴うキャンセルに加え、3日間の休業で25件以上の予約を断り、売り上げで200万円以上の影響が出ているということです。

旅館は20日から営業を再開する予定だということですが、露天風呂の復旧のめどは立っておらず、当面は旅館の別の風呂を利用してもらうことにしています。

旅館「大橋」の大橋一枝社長は「2年前に大雨が降ったときも少し土砂が入り込みましたが、物が壊れたりするのは初めてでした。台風の翌朝、様子を見たときは、ことばが出なくて涙が出ました。温泉を目当てに訪れる人も多いので、少しでも早く復旧できるようにしたいです」と話していました。

河原風呂 再開まで1か月程度かかる見通し

鳥取県三朝町の三朝温泉にある河原風呂は、露天風呂に大量の岩が入り込んでいて、営業再開まで1か月程度かかる見通しです。

三朝町の温泉街を流れる三徳川の川岸にある名物の露天風呂、河原風呂は、台風7号の大雨で川が増水した影響で、脱衣所が流されるなどの被害が出て、利用ができなくなっています。

河原風呂は、2年前の7月の大雨でも脱衣所が流されていて、今回は台風が接近する前に脱衣所の一部を撤去していましたが、屋根の部分などが流されたということです。

また、露天風呂には大量の岩が入りこんでいて、専門の業者に撤去してもらう必要があることから、河原風呂を管理している地元の観光協会は、営業再開までには1か月ほどかかるのではないかとしています。

三朝温泉観光協会のリエヴェン・アントニーさんは「河原風呂は三朝のシンボルマークだと思うので、シンボルが元気な姿を早く見せないといけないと思っています。できるだけ早く復旧したい」と話していました。

鳥取市佐治町 バス運休生活に影響も

台風7号の記録的な大雨で道路の崩落や断水などの被害が出ている鳥取市佐治町では、地元のNPO法人が運行しているバスが運転を取りやめていて、住民生活に影響が出ています。

鳥取市佐治町では、地元のNPO法人が2021年からワゴン車などで住民を運ぶ「共助交通」を運行していますが、台風7号の記録的な大雨で道路が崩落するなどしていて安全に運行ができないことから、8月15日の午後から運行を取りやめています。

18日佐治町高山にあるバスの乗り場付近では、運行の休止を知らずにバスを待つ住民の姿が見られました。

バスを待っていた、月に1度、佐治町内の診療所に通院している上田久美子さん(87)は「運行休止となっていたことは知らなかった。防災無線で放送があったようですが、音が小さくて聞こえませんでした。このような状況なので、しかたがないです」と話していました。

バスの今後の運行について、NPO法人は「現在のところ再開の見通しはたっていない。道路の安全が確保され次第、再開したい」としています。

断水に加え一時停電の発生も

鳥取市佐治町では、3つの地区167戸で18日も断水が続いているほか、午前中には、一時、停電も発生しました。

中国電力によりますと、18日、送電設備にトラブルがあり、午前10時半ごろからおよそ50分間、佐治町内のおよそ1140戸が停電しました。

このうち、断水が続く高山地区で家族3人で暮らす上田久美子さん(87)の自宅では、一時、停電で部屋の明かりやテレビをつけることができなくなりました。

上田さんは「山の上で住んでいると不自由なことはいっぱい起きるので大きな悩みはないですが、水と電気が使えないのが一番困ります」と話していました。

鳥取市佐治町 国交省の緊急災害対策派遣隊が被害状況を調査

記録的な大雨による道路や河川への被害の状況を把握しようと、国土交通省の緊急災害対策派遣隊=TECーFORCEが大きな被害の出た鳥取市佐治町で調査を行いました。

国土交通省中国地方整備局は、TECーFORCEを16日から鳥取市に派遣して、被害の調査にあたっています。

18日は隊員2人が、車の前後と左側面の3つの方向にカメラを設置した車を運転し、鳥取市佐治町の佐治川に崩落した国道や市道をふさぐように倒れている大型のアンテナの様子などを映像に収めていました。

また、佐治川にかかる橋が一部崩落している場所では、隊員たちは車を降りて、手に持ったカメラで橋脚に絡まっている流木の様子などを撮影していました。

TECーFORCEは8月24日にかけて調査を行う予定で、調査の結果は鳥取市と共有され、今後の復旧工事に役立てられるということです。

TECーFORCEの服部浩弥班長は「被害が予想以上に大きく、橋の崩れ方を見ても水の勢いが強かったことが分かります。被害の把握を進めて少しでも早い復旧につなげたい」と話していました。

兵庫 香美町 災害ボランティアの活動始まる

住宅などの浸水被害が出た兵庫県香美町では、復旧作業の支援にあたる災害ボランティアの活動が18日から始まりました。

香美町香住区では、台風7号による大雨の影響で矢田川などから水があふれ、30棟を超える住宅が床上や床下の浸水被害を受けました。

町の社会福祉協議会は18日から災害ボランティアの受け入れを始め、町内や近くの地域からおよそ20人が集まりました。

熱中症対策として休憩や水分を十分とりながら作業するよう説明を受けたあと、被害が大きかった間室地区に向かいました。そして、お年寄りの住宅などで水につかった畳を運び出したり、泥で汚れた床板を掃除したりしていました。

高齢の母親と2人で住む60代の男性は、「片づけをできるのが自分しかいないので、大変助かります」と話していました。

ボランティアに参加した60代の女性は、「被害がこんなに大きいとは思っていませんでした。少しでも役に立てればと思います」と話していました。

社会福祉協議会は、19日まで但馬地域に住む人などを対象にボランティアを募集し、20日まで活動してもらうことにしています。町の社会福祉協議会の門野貴裕さんは、「ボランティアが入って作業がはかどっています。困っていることがあれば遠慮なく声をかけてほしい」と話していました。

兵庫 養父 一時断水も

兵庫県北部の養父市では地下水に濁りが出たため一部の地域で断水が起き、市は給水所を設けて対応に当たりました。

断水は18日夕方までに解消したということです。

養父市八鹿町の伊佐地区では、円山川の近くにある水源地の地下水が濁り、16日の朝から514世帯が断水しました。

市は地区の5か所に臨時の給水所を設け、このうち円山台会館には、隣接する豊岡市から来た給水車が待機し、住民が持ち寄った容器に飲料水を入れていました。

また、地区の空き地には、市内の運送会社が所有する洗濯機を9機備えたトレーラーが配置され、住民たちが洗濯に訪れていました。

利用した60代の女性は「暑い時期で洗濯物も多いので助かります。水道が使えなくなるとは思っていなかったので、災害への備えについて考えさせられました」と話していました。

市によりますと、地下水の濁りは収まり、断水は18日夕方までに解消したということです。