高校野球 神村学園が市和歌山に快勝 3回戦へ

夏の全国高校野球、大会9日目の第2試合は、鹿児島の神村学園が市立和歌山高校に11対1で勝って3回戦に進みました。

神村学園は1回、3番・秋元悠汰選手と4番・正林輝大選手の連続タイムリーヒットなどで3点を先制しました。4点をリードした7回にも3連続となるタイムリーヒットなどで5点を加えて突き放しました。

投げては2人目の黒木陽琉投手が1回、2アウト満塁の場面で登板し三振で切り抜け、その後も、鋭い変化球を軸に合わせて8つの三振を奪うなど、9回途中まで投げて1点に抑え好投しました。

神村学園は投打がかみ合って11対1で市立和歌山に勝ち3回戦に進みました。

市立和歌山は6回に小野莞都投手の犠牲フライで1点を返しましたが、4人の投手が神村学園の打線を抑えることができず失点を重ねました。

《両チーム談話》

神村学園 秋元悠汰選手「今岡主将がホームインする姿を」

先制タイムリーツーベースを打った神村学園の秋元悠汰選手は「二塁ランナーだったキャプテンの今岡歩夢選手の気分が乗ればチームも乗ってくるので、今岡選手がホームインしてガッツポーズをする姿をイメージして打席に入りました。ファールにならなくてよかったです」と振り返りました。次の3回戦に向けては「きょうは点をとれましたが、自分たちは打撃のチームではないので守備からリズムを作り、自分たちのペースに持っていきたい」と意気込んでいました。

神村学園 黒木陽琉投手「後輩の分まで頑張ろうという気持ちで」

1回のピンチを切り抜け、その後、9回途中まで1失点と好投した神村学園の黒木陽琉投手は「先発した2年生の今村拓未投手が2アウトまでとってくれたので、後輩の分まで頑張ろうという気持ちでマウンドに上がりました。毎回3人で抑えられるように意識して投げました」とピッチングを振り返りました。3回戦に向けては「投手戦になってくると思うので次は投手陣のおかげで勝てるように頑張りたい」と話していました。

市和歌山 熊本和真主将 「実力の差を感じた」

市立和歌山のキャプテン、熊本和真選手は「相手の力が上回っていて実力の差を感じました。最後の打席になんとかつなぐ気持ちで立ちましたが、それができなくて悔しいです」と振り返りました。甲子園の舞台に立てたことについては「本当に最高の場所ですし、2年生はこの悔しさをバネに帰ってきて、勝ってくれたらなと思います」と話していました。

市和歌山 小野莞都投手「簡単に打たしてはもらえなかった」

市立和歌山の小野莞都投手は「相手の黒木投手の変化球が切れていて、なんとかそのボールをチームとして対応して打ち崩したかったですが、簡単に打たしてはもらえませんでした」と話していました。高校野球を振り返って「甲子園にずっと憧れて頑張ってくることができました。実際に甲子園でプレーさせてもらってすごい楽しかったです。後輩たちには、もう一回、この場所に戻ってきて、自分たち以上に勝ち上がってほしいです」とエールも送っていました。

神村学園“背番号10” 大けがを乗り越えて

神村学園の左腕で背番号10の黒木陽琉投手はおととし左ひじのじん帯などを痛め、医師から野球を続けられなくなる可能性を告げられていました。その大けがを乗り越えての大舞台での力投でした。

「再びボールを投げられるか分からない」

黒木投手は1年生のときに、こう医師から宣告されました。

当時、左ひじのじん帯や疲労骨折などで、2週間の入院を余儀なくされました。小学生から野球を始めて経験した初めての大きなけがでした。

リハビリを半年以上続けてボールを投げられるまでに回復しましたが、なかなか本来の調子に戻すことができませんでした。

センバツ出場がかかる新チームになって臨む去年秋の大会では、登録メンバーに選ばれることはありませんでした。

「とても悔しかった」と当時を振り返った黒木投手。

あえて、いちばん気持ちが落ち込んでいる時に厳しいトレーニングをしてみずからを追い込んだといいます。メンバーを外れた翌日から、早いときには午前3時ごろに起きて走り込みを続けました。

迎えた最後の夏、黒木投手は最速146キロのストレートと鋭く曲がるスライダーに加え、自主トレーニングで得たスタミナで、鹿児島大会ではチームで最も多い26イニングを投げ、4年ぶりの甲子園出場に貢献しました。

14日の市立和歌山との一戦は「甲子園でも技術と気持ちの面で成長した姿を見せたい」と臨みました。

1回、2アウト満塁のピンチで、いきなり2人目として黒木投手に登板機会が訪れました。

カウントが3ボール、2ストライクとなり、投球前、サインに首を振りました。

ここでひじに負担がかかると言われるスライダーを選択しました。

腕を力強く振り鋭く曲がるスライダーで三振を奪って切り抜けました。

4回と5回にもピンチを背負いましたが、いずれもスライダーを投げて三振。
試合の流れを渡しませんでした。

小田大介監督は「エース級の投球をしてくれた。特に気持ちの面で成長を大きく感じられた」と絶賛していました。

黒木投手は「一球、一球に対して観客が拍手をしてくれてすごい場所だなと感じました。次の試合もストライク先行の攻めたピッチングで頑張りたい」と話していました。

大けがを乗り越えて大舞台のマウンドを経験した背番号10は、次も試合でさらに成長した姿が見られるかもしれません。