ハワイ山火事 死者80人に 警戒のサイレン作動せず被害拡大か

ハワイのマウイ島で起きた山火事による死者はさらに増えて80人となりました。発生当時、住民に警戒を呼びかけるサイレンが作動した形跡がないことがわかっていて、ハワイ州の司法長官は、山火事への対応が適切だったかどうか検証を行うと発表しました。

ハワイのマウイ島で8日に発生した山火事では火がハリケーンに伴う強風にあおられて市街地に急速に燃え広がり、確認された死者の数は現地時間の11日夜までに80人になりました。

また、10日の時点で地域の高校や教会などに1400人あまりが避難しているということです。

ハワイのグリーン州知事は、被災地を視察した写真を日本時間の11日午後、自身のSNSに投稿し「きょう、私たちが目にしたのは、おそらくハワイ州史上最大の自然災害だろう」としています。

ハワイ州の司法長官は、11日、声明を発表し「山火事の発生前、発生中、発生後の重要な意思決定などの包括的な検証を行う」として、関係者の対応が適切だったかどうか検証を行う方針を明らかにしました。

この山火事についてハワイ州の当局はNHKの取材に対し、山火事が発生した際、住民に警戒を呼びかけるためのサイレンが作動した形跡がないことを明らかにしています。

詳しいことは明らかになっていませんが、住民への警戒の呼びかけが十分に届かなかったことが被害の拡大につながった可能性もあり、当時の詳しい状況や被害が拡大した原因の究明が急がれます。

著名人たちによる支援の動き広がる

山火事の被災者を支援する動きが、アメリカの著名人たちの間で広がっています。

マウイ島で不動産を所有するアメリカのIT大手アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾス氏と、パートナーのローレン・サンチェス氏は、被災者の支援のために1億ドル、日本円で144億円あまりを寄付するとSNSで発表しました。

またイギリスの公共放送BBCなどによりますとマウイ島に家を持つアメリカのテレビ番組の人気司会者で女優のオプラ・ウィンフリーさんは島の避難所を訪れ、被災者に枕やシャンプーなどを配ったということです。

また、ハワイ州生まれのオバマ元大統領や、人気のテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」などに出演した俳優のジェイソン・モモアさんもそれぞれSNSで支援を呼びかけています。

岸田首相 バイデン大統領宛てにお見舞いメッセージ

ハワイのマウイ島で山火事による被害が拡大していることを受けて岸田総理大臣は、アメリカのバイデン大統領宛てにお見舞いのメッセージを出しました。

この中では「山火事がハワイにもたらした甚大な被害に関し、アメリカ国民及びアメリカ政府に対して心からお見舞いを申し上げます。一刻も早く火災が収まることを願っています。犠牲になられた方々のご冥福と被災地の1日も早い復興を心からお祈りいたします」としています。

12日 05:30(日本時間)ラハイナ8割でほぼ消し止められる

地元当局によりますと、特に被害の大きいマウイ島西部のラハイナでは8割の地域で火はほぼ消し止められましたが、いまも懸命な消火活動が続いています。

アメリカの複数のメディアによりますと、避難している人は数千人にのぼっていて、地元当局は、ホテルや住民に空きスペースがあれば避難場所として提供するよう呼びかけているということです。

11日 午前(日本時間) 州知事「1000棟以上の建物が破壊」

ハワイのグリーン州知事は日本時間の11日午前自身のSNSで動画を公開し「死者数は増えるだろう。マウイ島にとって壊滅的な被害が出ていて、おそらく1000棟以上の建物が破壊された」と述べました。