国民年金 昨年度決算3年ぶり赤字 積立金運用の収益伸び悩みで

自営業者などが加入する国民年金の昨年度・令和4年度の決算は、積立金の運用による収益が伸び悩んだことなどから、3年ぶりの赤字となりました。一方、会社員が加入する厚生年金の決算は3年連続、黒字となり、両者あわせた積立金は過去最高のおよそ208兆円となりました。

厚生労働省によりますと、自営業者などが加入する国民年金の昨年度の決算は、歳入が3兆6046億円、歳出は3兆7277億円で、歳出が歳入を上回り、およそ1232億円の赤字となりました。

これは納付率が上昇して保険料収入が増えた一方、GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人による積立金の国民年金分の運用収益が1493億円にとどまったことによるもので、3年ぶりの赤字です。

一方、会社員が加入する厚生年金の決算は、歳入が51兆9181億円、歳出は48兆4628億円で、およそ3兆4552億円の黒字となりました。

これは加入者が増えたことや、賃上げによる保険料収入の増加などが要因で、3年連続の黒字です。

この結果、積立金の残高は時価ベースで
▽国民年金が10兆4518億円と、前の年度より1123億円減った一方、
▽厚生年金は197兆5392億円となり、3兆4777億円増え、
両者あわせた全体では過去最高の207兆9910億円となりました。

厚生労働省は「国民年金は赤字となったが、積立金全体は増加基調にある。年金財政は単年度ではなく、長期で見る必要があり、引き続き安定した運用に努めていく」としています。