日大 林真理子理事長が会見で謝罪 アメフト部員逮捕で

日本大学アメリカンフットボール部の男子部員が大麻と覚醒剤を隠し持っていたとして逮捕された事件で、日本大学が会見を開き、林真理子理事長が「学生が逮捕されたことは大変遺憾であり、深く受け止めている。多大なご迷惑、ご心配をおかけした」と陳謝しました。

日本大学アメリカンフットボール部の21歳の部員は、先月6日、アメフト部の寮で乾燥大麻と覚醒剤を隠し持っていたとして逮捕されました。

これを受けて、林真理子理事長と酒井健夫学長などが午後3時から記者会見を開きました。

会見の冒頭、林理事長が「学生が逮捕されたことは大変遺憾であり、理事長として深く受け止めている。学生、生徒、卒業生、保護者、関係者に多大なご迷惑、ご心配をおかけした。説明に時間を要したことも心から深くおわびする」と述べて、陳謝しました。

大学側が先月6日に違法薬物を発見したあと、およそ2週間、警視庁に報告していなかったことについて、酒井学長は、「不審物を発見した時点では違法薬物の確証がなく、ヒアリングをしてから相談しようと考えた。ご理解いただきたい」と説明しました。

また、会見で大学は、去年11月に部員の学生から「大麻と思われるものを使用した」と自己申告があったことを明らかにしたうえで、「警察の関係者に相談したが、物的証拠がないことなどから、事実の立証は困難との回答があり、十分に指導するよう求められたので、本人に注意した。今考えれば、警察に相談しておけばよかったかもしれない」と述べました。

一方、この学生の自己申告については、当時、理事長と学長、副学長に報告されていなかったということで、大学は今後、連絡体制を整えるとしています。

事件のあと、日本大学はアメリカンフットボール部を無期限の活動停止処分にしています。

林理事長「改革の再出発として真摯に取り組む」

林理事長は「お飾りの理事長であるという報道がなされているが、そのような評価を残念に思っている。在校生や卒業生にかつてのような誇りを取り戻してほしい。その一心でガバナンスに取り組んできた。どこまで達成できたが分からないが、旧体制と変わらないなどと評価されるのはつらくて残念でならない。ガバナンス強化するためにそのための取り組みを最後までやり抜くことに変わりない。改革の再出発として真摯(しんし)に取り組み、今後も警察の捜査に協力する」と話しました。

大学側が事件が発覚した経緯を説明

大学は8日の会見で今回の事件が発覚した経緯を説明しました。

それによりますと、ことし6月30日に警視庁から「アメリカンフットボール部で大麻を使用している可能性がある」と連絡があり、その日のうちに学生寮の調査を行いましたが、違法薬物は発見されなかったということです。

その後、7月6日になって再度、警視庁から指摘があったため、部員の了解をとったうえで持ち物検査を行ったところ、所有者不明の「茶葉のようなもの」が入った袋が見つかったということです。

これについて大学側が警視庁に報告したのは12日後の7月18日でした。

報告まで時間がかかったことについて、大学は「発見当時は細かいカスのようなもので、違法薬物と確証を持てなかった。教育機関であり、学生へのヒアリングを優先した。学生に自首をさせたかった」などと説明しています。

一方、去年10月には、アメフト部の学生が大麻を使用している疑いがあるとして部員の保護者から調査を求められ、大学側が部員に聞き取りを行ったということです。

違法薬物は確認されなかったということですが、その翌月に部員のひとりから「大麻と思われるものを7月に吸った」と自己申告があったということです。

これについて大学は、「警察の関係者に相談したが、物的証拠がないことなどから、事実の立証は困難との回答があり、十分指導するよう求められ、本人に注意した。今考えれば、警察に相談しておけばよかったかもしれない」と説明しました。

アメフト部 今後の活動は

記者会見で日本大学の澤田康広副学長は、アメリカンフットボール部の現在の状況や今後の活動について、「無期限活動停止ではあるが、個人でのトレーニングは自由だ。保護者からは『関係のない選手は練習をさせてほしい』という要望はあるが、大学としての調査も終わっていないし、特段状況が変わっていないので、現時点で処分を変更するつもりはない」と説明しました。

そのうえで、9月2日に始まる予定の関東学生リーグ1部の上位チームで戦う「TOP8」のリーグ戦について、「連盟から9日までにリーグ戦に出るかどうか回答を求められている。まだ結論に至っていないので、このあと監督などと協議をして決めたい」と説明しました。

これについて関東学生アメリカンフットボール連盟は、大学側がリーグ戦への出場を希望した場合でも、連盟が事実関係を調査したうえで最終的に出場を認めるかどうか判断するとしています。

一方、アメリカンフットボール部の中村敏英監督など首脳陣に対する処分について、酒井健夫学長が「まずは事件のすべてを把握することが大切で、今はまだそういう話をする時期ではない」として、大学として事実解明をしたうえで検討する考えを示しました。

永岡文科相「不祥事防止に向けた取り組みや体制構築を」

永岡文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「大変遺憾だ。日本大学は警察の捜査への全面的な協力と、明らかになった事実についての説明責任を果たすとともに、不祥事防止に向けたさまざまな取り組みや体制構築を適切に行っていただきたい」と述べました。