巨人 中田翔 通算300号ホームラン達成 平成生まれの選手では初

プロ野球、巨人の中田翔選手が6日の広島戦で12号ホームランを打って、史上45人目、平成生まれの選手では初めて通算300号ホームランを達成しました。

中田選手は6日、広島市のマツダスタジアムで行われた広島戦の8回に代打で出場し、広島のルーキー、河野佳投手の速球を捉えて12号ホームランを打ち、通算300号ホームランを達成しました。

通算300号ホームランは2021年9月29日に当時ソフトバンクだった松田宣浩選手が達成して以来、プロ野球史上45人目で平成生まれの選手では初めての達成となりました。

プロ16年目、34歳の中田選手は長打力と勝負強さが持ち味で日本ハム時代には打点王を3回獲得したほか、日本代表の経験も豊富で右の強打者として活躍を続けています。

中田翔「広島で打てたのは縁を感じる」

通算300号ホームランをふるさとの広島で達成した中田翔選手は、「広島で打てたのは縁を感じる。生まれ育った場所で、観戦していた家族の前で打つことができてうれしかった。広島ファンからも拍手をもらって個人的にはいろいろ詰まった1日だった」と喜んでいました。

ホームランを打った8回の代打の打席については、「がむしゃらにというか、1打席勝負なので初球から悔いの残らないスイングをしようと心がけて打席に立った」と振り返ったうえで、「最近は途中出場が多くいろいろと思うことはあるが、やることは変わらない。与えられた打席で、いかに気持ちを出せるかを試行錯誤しながらやっている。先発出場と代打では打席内の雰囲気が違うので難しく、代打に慣れている人に話を聞いて、考えを持って打席に立っている」と工夫を明かしました。

そして、今後に向けては、「すごい先輩がたくさんいるので、少しでも近づけるように努力していきたい」とさらなる活躍を誓っていました。

通算300号 記録達成の背景には

平成生まれとしては初めてとなるプロ通算300号ホームランを達成した中田選手。

その記録達成の背景には変化を恐れず新たなことに挑戦する向上心がありました。

中田選手は昨シーズン途中からさらなる進化を目指してスイングの軌道を変えることに取り組んできました。

具体的にはこれまでバットを地面と水平に振る「レベルスイング」を意識していたのを左肩の開きを抑えてバットを下から上へ縦に振るように心がけるようにしたと言います。

「縦振り」と呼ぶこのスイングについて中田選手は「ボールの内側を捉えるイメージ。肩が開くとアッパースイングになるので開きを抑えて確実性を高める」と自身の感覚と意図を説明しています。

持ち味の長打力に加え確実性も求める背景には巨人に移籍して、自分を取り巻く環境の変化を感じたことがあります。

「調子が悪くても試合に出続けるつらさがあった」という不動の主力としての立場を担った日本ハムから、巨人では「状態が悪いと2軍に落とされる」というこれまでとは異なる厳しさを体験しました。

「ここからはい上がる」

強い決意を持った中田選手が変更したのはフォームだけではありませんでした。

長年戦ってきたパ・リーグからセ・リーグの配球の違いを分析し「ボールになる変化球を振らせることが多い」と考え昨シーズン途中から打席での立ち位置をホームベースに半歩近づけました。

その分、インコースが体に近くなり、詰まらされるおそれが増えるという“デメリット”もありますが、その分、体の開きを抑える「縦振り」で対応しようと考えました。

「前までは『ここでインコースが来る』と力んで開いてしまっていたがスイングの軌道を意識することでスムーズに反応できるようになった」と成果を実感していました。

大台まで残り12本で迎えた今シーズン、中田選手は開幕から好調をキープし、サヨナラホームランも打つなどそのバットで勝利に貢献してきました。

5月に入りけがで2軍落ちも経験し、復帰後はスタメンを外れる試合も増えましたが、与えられた場面で力を出すことに集中し、生まれ故郷の広島で見事に記録を達成しました。