台風6号「沖縄 今夜から再び暴風域に」気象庁注意呼びかけ

大型で強い台風6号について4日午後、気象庁天気相談所の池田徹所長が、今後の見通しや警戒すべき点を説明しました。

池田所長は「今回の台風の特徴は動きが非常に遅く、強い勢力を保ったまま接近するため、台風が近づく地域では風・波・高潮・大雨の影響が長く続くおそれがある。沖縄地方では先日の台風の接近で雨量が多くなり地盤が緩んでいて、再び雨が強まると通常より少ない雨量で土砂災害の危険度が高まるおそれがある。沖縄本島の西側など早いところでは今夜から暴風域に再び入り、あさってにかけて走行中のトラックが横転するおそれもある猛烈な風が吹くところがある。おとといにかけての台風の接近で住宅などがダメージを受けている場合は、風が強まる前に安全な建物に避難してほしい」と呼びかけました。

また、今後の進路については台風を動かす上空の風が非常に弱く、予報の不確実性が大きいとしたうえで「大きく見ると東へ進んだあと、北向きに変えて進む見込みだ。台風周辺だけでなく東側の地域で長期間南風が吹き、湿った空気が西日本から東日本の広い範囲に流れ込み続けて大雨となる地域があるおそれがある。浸水や土砂災害の危険性があるところに住んでいる人は、避難経路についても今のうちに確認し、気象台が発表する情報などに十分注意してほしい」と述べました。

さらに夏休みのシーズンにあたることから「出かける計画を立てている人も多いと思うが、安全のため、計画を柔軟に見直してほしい」と呼びかけました。

一方、国土交通省河川環境課の尾松智河川保全企画室長は「九州や中国地方などでは先月までの大雨で損傷した川の護岸では応急的な対策しかできていないところもあり、今後雨が強まると低い水位であっても氾濫の可能性が高まるので早めの避難をしてほしい」と呼びかけていました。

影響が続く台風は過去にも

台風6号は東シナ海で停滞したあと東よりに進み、再び沖縄本島地方の一部が暴風域に入っていて、影響がさらに長期化するおそれがあります。

沖縄県では過去にも丸一日以上暴風域に入ったり、台風の複雑な動きによって長時間にわたり影響が続いたことがあります。

▽2001年9月の「台風16号」は、沖縄本島を東へ通過したあと反転して再び西へ通過したほか、本島地方近海で3度にわたって停滞したため、久米島では60時間余り暴風域に巻き込まれました。

久米島では最大瞬間風速は50.8メートルに達したほか、期間中の総雨量が967.5ミリと平年の年降水量の45%に達する記録的な大雨となりました。

また、沖縄本島の南から西の海上を北上した▽2011年8月の「台風9号」は速度が遅く、那覇市は暴風域におよそ45時間、強風域におよそ78時間入っていました。

このときは風にあおられ転倒するなどして50人余りがけがをしたほか、各地で発生した土砂崩れにより国道や県道の通行止めが相次ぎ、沖縄本島や一部の離島で最大9万8000世帯が停電しました。

台風の影響が長引くと暴風や大雨などによる被害だけではなく、停電の長期化や食料品の不足など住民生活への影響が深刻化するほか、交通機関の混乱が続くおそれもあります。