アルツハイマー病 日米共同開発の新薬 今月21日に承認判断へ

日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について、厚生労働省は8月21日の専門家部会で承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。承認されれば、アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための、初めての薬が国内で製造・販売できるようになります。

認知症の原因の1つである「アルツハイマー病」の新しい治療薬「レカネマブ」は、日本の製薬大手「エーザイ」が、アメリカの「バイオジェン」と共同で開発を進めてきた薬です。

アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで、症状の進行を抑えることが期待されています。

エーザイは、ことし1月に「レカネマブ」について、厚生労働省に承認を求める申請を行っていましたが、厚生労働省は8月21日に専門家部会を開き、承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。

「エーザイ」などの研究グループによりますと、最終段階の治験の結果では、この薬を投与された患者は、偽の薬を投与された患者と比べて、1年後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、病状の進行を緩やかにする効果が確認されたということです。

アメリカでは7月上旬に治療薬として承認されていて、日本でも承認されれば、アルツハイマー病の原因物質を取り除くための、初めての薬が国内でも製造・販売できるようになります。

アルツハイマー病とは

アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の1つで、日本では認知症と診断された高齢者の6割以上を占めています。

アルツハイマー病を発症した人の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これにより神経細胞が壊れ、脳が萎縮し、その結果、脳の働きが低下すると考えられています。

典型的な症状として初期に物忘れが目立ち、経過とともに、理解や判断の力が衰えたり、身体的な機能も低下して動きが不自由になったりするなど、さまざまな症状が徐々に出てくるようになります。

厚生労働省によりますと、日本では認知症の人は3年前の時点で600万人と推計されていて、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年にはおよそ700万人にのぼると予測されています。