ポーランド首相“ワグネルが国境地帯に移動の情報”警戒感示す

ロシアで武装反乱を起こしベラルーシが受け入れている民間軍事会社ワグネルの戦闘員について、ベラルーシの隣国ポーランドのモラウィエツキ首相は、戦闘員が国境地帯に向けて移動しているという情報があるとして警戒感を示しました。

先月、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの戦闘員について、ロシアと同盟関係にあるベラルーシは受け入れを進めているとみられます。

こうした中、ベラルーシの西側に位置するポーランドのモラウィエツキ首相は29日、ワグネルの戦闘員100人以上が国境地帯の「スバウキ回廊」に向けて移動しているという情報があると明らかにしました。

「スバウキ回廊」は、いずれもNATO=北大西洋条約機構の加盟国であるポーランドとリトアニアとの国境地帯で、ロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシに挟まれていることからNATOの安全保障上も、重要な地域とされています。

モラウィエツキ首相は「状況はますます危険になっている。戦闘員は不法移民になりすますなどしてポーランドに入るおそれがあり、ハイブリッド攻撃の一歩だ」と警戒感を示しました。

今月、ベラルーシのルカシェンコ大統領はワグネルの戦闘員について「西側のポーランドへ行きたがっている」と述べ、NATO側をけん制していたほか、ポーランドも東部に兵士1000人を移動させるなど、地域の緊張が高まっています。

専門家「特に東ヨーロッパの国々を揺さぶりか」

防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は、ウクライナ軍が進める反転攻勢について「ウクライナ軍はザポリージャ州の西部でロシア軍の防衛線に迫りつつあり、一部では突破を試みようとしていると指摘されている」と述べました。

そのうえで「ザポリージャ州で第1防衛線を大きく突破することができるか、主力部隊の投入でさらに進軍することができるか注目されている」と指摘しました。

一方、ベラルーシが受け入れているロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員が、国境地帯に向けて移動しているという情報があるとポーランドが警戒感を示したことについては「ベラルーシ西部に軍用キャンプがあり、そこでワグネルは軍事訓練を行うとみられている。ワグネルがポーランドなどにも影響力を拡大するのではないかという動きをみせながら、NATO加盟国、特に東ヨーロッパの国々を心理的に揺さぶろうとするねらいもあるのではないか」と分析しました。

また、ワグネルの戦闘員を受け入れているベラルーシ側の思惑に関連して、過去にベラルーシが中東などから来たとみられる大勢の移民などを、ポーランドに送り込もうとしたと指摘しました。

そのうえで「ベラルーシの思惑をワグネルが実現しているところがある。ルカシェンコ大統領の意をくんだ形の動きを見せることで、ベラルーシでの存在感を誇示し、ルカシェンコ大統領から一定の支援などを引き出したい思惑もあるのではないか」と述べました。