世界肝炎デー アルコール影響や運動不足が原因の肝硬変が増加

7月28日はWHOによる「世界肝炎デー」で肝炎の予防や治療のための啓発が行われています。日本肝臓学会の調査では、2021年までの4年間の肝硬変の原因を見ると、ウイルス性による割合が減少する一方で、アルコールの影響や、肥満や運動不足などによる非アルコール性脂肪肝炎の割合が増えていることがわかりました。

肝臓の専門医でつくる日本肝臓学会は、2018年から2021年までの4年間の全国の病院の肝硬変の患者あわせて2万3847人について、その原因を調査しました。

その結果、アルコールによる影響が最も多く28.8%、C型肝炎ウイルスが27.1%、そして肥満や運動不足などが原因とされる非アルコール性脂肪肝炎が12.7%などとなりました。

2017年までの4年間の調査と比較すると、40%余りを占めていたC型肝炎ウイルスの割合は減少し、アルコールや非アルコール性脂肪肝炎が増加しています。

こうした背景について肝臓の病気に詳しい日本消化器病学会の持田智理事長は、新型コロナのステイホームで飲酒量が増えたり運動不足になったりしたことでさらに増加する懸念があると指摘した上で、「健康診断の血液検査の項目うち、肝臓の機能を示すALTが30を超えたらかかりつけ医に相談してほしい」と呼びかけています。

都内クリニック 肥満や運動不足による脂肪肝の患者が1割程度増

東京都内で肝臓の病気を中心に治療を行っているクリニックでは、新型コロナの感染拡大前と比べて、肥満や運動不足による非アルコール性の脂肪肝の患者が1割程度増え、若い世代の受診も増えていると言います。

新宿しまだ内科クリニックの島田昌彦院長は、「非アルコール性脂肪肝はこれまで男性は40代50代が多くて女性は40代後半からが多いと一般的に言われていましたが、最近の傾向として20代30代の若い世代の男性や女性が増えている傾向にあります。新型コロナの影響でリモートワークになり、運動不足になったことも一つの要因になっているのではないかと思います」と話していました。

このクリニックを受診する都内に住む38歳の男性は、会社の健康診断で去年、肝臓の機能を示す数値のひとつ「ALT」が高い数値となり肝機能の異常があると指摘されました。

男性は、ほとんど酒を飲まず、体重は標準で、脂肪肝と診断されたことは予想外でした。

現在、男性は医師からのアドバイスを受けて、有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングをして、食事では、炭水化物や甘いもの、油っぽいものなどを控え、たんぱく質や野菜を多くとるようにした結果、数値が改善していると言います。

男性は、「新型コロナの感染拡大後は家から出なくなり、少し体が重いとか運動不足を感じる機会が増えていた。食生活の改善で数値が改善されてきたので、食事のコントロールや定期的な運動を続けて気をつけていきたい」と話していました。