「離岸流」か 福岡 糸島の海岸で17日 10人が沖に流される

今月17日、福岡県糸島市の同じ海岸で、一日に2回、合わせて10人が一時沖に流され救助されるなどしていたことが海上保安部への取材で分かりました。沖に向かう強い潮の流れ「離岸流」に巻き込まれたとみられ、海上保安部が注意を呼びかけています。

福岡海上保安部によりますと、今月17日の「海の日」の昼すぎ、糸島市志摩桜井の大口海岸で、泳ぎに来ていた大学生4人が沖に流されたと118番通報がありました。

さらに数時間後には、同じ海岸で別の6人が流されたと通報がありました。

流された人たちは、いずれも近くに居合わせたサーファーに救助されたり自力で岸に戻ったりして命に別状はありませんでしたが、中には、一時、数十メートルも沖合に流され、救助された際、自力で歩けないほど衰弱していた人もいたということです。

海上保安部が調べたところ、当時、この海岸では沖に向かう強い潮の流れ「離岸流」が発生していたということで、いずれのケースも離岸流に巻き込まれたとみられるということです。

離岸流は、全国各地の海で確認されていて、海上保安部はパトロールを強化するなどして離岸流への注意を呼びかけています。

また、監視員のいない場所では遊ばないことや、ライフジャケットの着用など安全対策の徹底を強く呼びかけています。

離岸流とは

福岡海上保安部などによりますと、「離岸流」は岸から沖に向かって強い潮の流れが発生する現象で、海岸が外洋に面している場所や、遠浅で海岸線が長い場所などで発生しやすいとされ、福岡県内では糸島市や志賀島周辺で確認され、救助されるケースが多いということです。

九州北部などを管轄する第7管区海上保安本部によりますと、去年までの5年間に離岸流に流された人数は、亡くなった人も含めて26人と、遊泳中の事故全体の27%を占めているということです。

また、今月6日には、沖縄県の名護市でも、離岸流が発生しやすい海岸で泳いで遊んでいた男子高校生が流され、その後、死亡が確認されました。

離岸流に巻き込まれたら

海上保安庁のホームページなどによりますと、離岸流の潮の流れは、速いものでは秒速2メートル、長さは数十メートルから数百メートルに及び、ひとたび巻き込まれると泳ぎに自信のある人でも流れに逆らうのは困難だということです。

一方、「離岸流」の幅は広くても数十メートルほどで、周囲には、逆に岸に向かう流れも発生することから、万が一巻き込まれてもパニックにならず、流れが落ち着くまで浮いて体力を温存し、その後、岸と平行に泳ぐことで脱出できるということです。

“安全対策の徹底を”

離岸流以外にも、浮き輪やボードなどが風の影響を受けて沖に流されるケースもあるということで、海上保安部は、マリンレジャーの際には海に潜む危険性を十分に認識したうえで、監視員などがいる管理されたビーチで遊ぶことや、連絡手段を確保することなど安全対策を徹底するよう呼びかけています。

福岡海上保安部の高橋謙慈交通課長は「どの海域でも離岸流や風の影響で流される可能性があるので、必ず監視員の目が届く遊泳区域で泳いでください。また、事前に気象や海の状況を確認し、特に小さい子どもには救命胴衣を着させ、決して目を離さないでほしい」と話しています。