殺傷能力高いクラスター爆弾 ロシアとウクライナ双方で使用か

ロシア国防省は、ウクライナ南部の支配地域でロシアの記者団がウクライナ軍による攻撃を受け1人が死亡したと発表し、「クラスター爆弾が使われた」と主張しました。一方、ドイツの放送局は、ロシア側のクラスター爆弾でカメラマンが負傷したと発表し、殺傷能力が高いクラスター爆弾の使用が双方で相次いでいる可能性があります。

ロシア国防省は22日、ウクライナ南部ザポリージャ州の支配地域で、ロシアの記者団がウクライナ軍の攻撃を受け、国営通信の記者1人が死亡したほか、3人がけがをしたと発表しました。

ロシア国防省は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散り殺傷能力が高い「クラスター爆弾が使われた」と主張しています。

アメリカのバイデン政権は、ウクライナからの要請に応じてクラスター爆弾を供与し、今月20日にはウクライナ軍が使用を始めたと明らかにしています。

一方、ドイツの放送局「ドイチェ・ヴェレ」は22日、ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ軍の訓練場を取材していたカメラマンが、ロシア側のクラスター爆弾による攻撃で負傷したと発表しました。

声明によりますと、取材チームは現地時間の22日正午すぎ、ドネツク州でウクライナ軍の訓練場を撮影中にロシア側の攻撃を受け、カメラマンの男性がクラスター爆弾の破片で負傷したということです。

男性はウクライナの病院で手当てを受けているということですが、今のところ容体は安定しているということです。

取材チームの特派員は「射撃訓練中のウクライナ軍を撮影していたときに突然、数回の爆発音が聞こえた。私たちが地面に伏せるとさらに多くの爆発が続き、人々が負傷した。その後、ウクライナ軍がクラスター爆弾による攻撃と確認した」と証言しています。

この攻撃でウクライナ軍の兵士1人が死亡し、数人が負傷したということです。

「ドイチェ・ヴェレ」の会長は「ジャーナリストたちはロシアの侵略戦争を報道するために日々、命をかけており、最大級の敬意と感謝に値する。あらゆる安全対策がとられ、ロシア軍の前線から離れているにもかかわらず、戦地にいるわれわれの同僚の仕事は依然として危険なものだ」とコメントしています。

ロシア軍のクラスター爆弾については、アメリカがすでに戦場で使用されているという認識を示していて、ウクライナ側が反転攻勢を続ける中、クラスター爆弾の使用が双方で相次いでいる可能性があります。

ロシア外務省「犯罪者はしかるべき罰を受ける」

ロシア外務省のザハロワ報道官は22日、SNSで「ロシア人ジャーナリストへの残酷な攻撃の犯罪者は、必然的にしかるべき罰を受けるだろう。ウクライナにクラスター爆弾を供与した者たちも、その責任を全面的に負うことになる」と批判しました。