ロシア ウクライナ南部への攻撃続く 輸出制限解除ねらいか

ロシア軍は21日もウクライナ南部への攻撃を続け、穀物関連施設が破壊されけが人が出ています。ロシアは自国の農産物などの輸出制限の解除をねらい欧米側から譲歩を引き出すために攻撃を強めているとの指摘も出ています。

ロシア軍はウクライナ南部を連日攻撃していて、オデーサ州の知事は21日、ロシア軍が黒海から発射した巡航ミサイル「カリブル」が州内にある穀物関連施設を破壊し、爆発で2人がけがをしたとしています。

また同じく南部にあるザポリージャ州の当局は21日、ロシア軍による砲撃で市民4人が死亡したとSNSに投稿しました。

一方、ロシア国防省は21日、海軍の黒海艦隊が黒海で対艦巡航ミサイルを使った発射演習を行ったと発表しました。

ロシアは黒海でウクライナに向かう船舶を軍事物資を輸送している可能性があるとみなすと警告していて、演習を行うことで、ウクライナや欧米側をけん制した形です。

戦況について分析しているアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日、ロシアが農産物合意の履行を停止し、ウクライナの港湾などへの攻撃を強化していることについて「欧米各国から幅広い譲歩を引き出す努力の一環である可能性が高い」とし、自国の農産物などの輸出制限を解除させるための試みだと指摘しました。

ただ、こうしたロシアの動きはウクライナ産の農産物の輸出を滞らせ、ロシアが取り込みを図るアフリカの国々などへの食料供給を脅かすことになるとして「ロシア側の国際的な取り組みの努力を台なしにする可能性がある」としています。