受刑者に投票が認められず “憲法違反ではない”判決 東京地裁

服役中の受刑者に国政選挙などの投票が認められていないことが、選挙権を保障した憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、東京地方裁判所は憲法違反ではないとする判決を言い渡しました。

長野刑務所で服役中の受刑者は、2019年に詐欺の罪で懲役7年の実刑が確定したため公職選挙法の規定に基づいて選挙権が停止され、おととしの衆議院選挙と最高裁判所裁判官の国民審査、それに去年の参議院選挙で投票できませんでした。

これについて、「投票を制限するのは選挙権を保障した憲法15条などに反する」と主張して、国に対し、次の国政選挙で投票を認めることなどを求めていました。

20日の判決で、東京地方裁判所の岡田幸人裁判長は「公明・適正な選挙を行うために、法秩序を著しく害した受刑者の選挙権を制限することを定めた法律の規定は合理的で、憲法には違反しない」と判断し訴えを退けました。

受刑者の選挙権をめぐっては、2013年に大阪高等裁判所が「憲法違反」と判断した一方、2017年には広島高等裁判所が「合憲」とする判決を出し、司法判断が分かれていましたが、東京地裁も「合憲」の判断となりました。

原告の受刑者は控訴「最後まで闘いたい」

判決について、受刑者側の加藤雄太郎弁護士は「民主主義国家において立法府は国民から選ばれる存在で、国民を選ぶ存在ではない。一人一人に考えてほしい問題だ」と話しています。

弁護団によりますと、原告の受刑者は「すべての受刑者のためにも最後まで闘いたい」としていて、判決を不服として控訴したということです。

総務省は「国側の主張が認められたと受け止めている」としています。