広域強盗 千葉の事件でも指示か グループ幹部を再逮捕

フィリピンを拠点にした特殊詐欺グループの幹部が、一連の広域強盗のうち、ことし1月に千葉県で起きた事件でも指示を出していたとして、警視庁は強盗傷害などの疑いで再逮捕しました。

再逮捕されたのはフィリピンを拠点にした特殊詐欺グループの幹部 今村磨人容疑者(39)です。

警視庁によりますと、ことし1月、千葉県大網白里市のリサイクルショップに男3人が押し入り、店長が殴られてけがをした事件で、実行役に指示を出していたとして強盗傷害などの疑いが持たれています。

今村容疑者は、去年5月に京都市の時計販売店で高級腕時計が奪われた事件でも、「ルフィ」を名乗って指示を出したとして、先月、強盗の疑いで逮捕されていました。

その後の調べで、押収した携帯電話を解析するなどした結果、千葉県の事件では「ミツハシ」を名乗り、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で、「闇バイト」に応募してきた実行役とやりとりしていたとみられることがわかったということです。

この「テレグラム」の番号は、「ルフィ」と名乗っていた京都市の事件のものと一致しているということで、警視庁は複数の名前を使い分けて指示を出していたとみて実態の解明を進めています。

また、一連の広域強盗事件は警視庁が中心となり、京都府警や千葉、広島、山口の各県警と合同捜査本部を設置して捜査していて、フィリピンの入管施設から日本に送還されたほかのメンバーについても調べを進めることにしています。

闇バイト 報酬の保証なく“使い捨ての駒”扱いも

いわゆる「闇バイト」をめぐっては、SNSなどで集められた犯罪の実行役が報酬を受け取る保証もなく、いわば「使い捨ての駒」として扱われ、逮捕されるという実態が分かってきています。

一連の広域強盗のうち、去年5月に京都市で起きた事件では、逮捕された実行役13人の大半が闇バイトで集められていましたが、ほとんどが報酬を受け取っていなかったということです。

また、ことし5月に東京 銀座の高級腕時計店で起きた強盗事件で、犯行に使われたレンタカーを借りたとして逮捕・起訴された33歳の会社員は警視庁の調べに対し、「闇バイトに応募し、数十万円の報酬を約束されていたが、受け取っていない」と供述していたということです。

警視庁生活安全総務課の新實康徳 都市防犯係長は「闇バイトは『高収入』などをうたう甘いことばで募集されるが、報酬が支払われる保証はなく、『使い捨ての駒』として使われ、最終的には警察に逮捕されているのが実態だ」と指摘しています。

また、犯罪グループは闇バイトの募集にあたり、仕事のための確認と称して本人証明書の提示を求めたり、家族の情報を聞き出したりしたうえで、「やめるなら家族に危害を加える」などと脅して、繰り返し、犯罪に加担させるケースが目立っているということです。

応募の際に秘匿性の高いメッセージアプリのインストールを求められることが多いことも特徴だということで、新實係長は「闇バイトとうたっていなくても、仕事内容に比べて明らかに報酬が高額であるものは要注意だ。怪しい求人に応募してしまったり、本人証明書の情報を渡してしまったりした時にはすぐ警察に相談してほしい」と話しています。

警視庁は10代や20代の若い世代が関与するケースが多いことから、犯行グループに加わらないよう呼びかける動画を制作したり、高校や大学などで出前講座を開いたりして対策を進めています。