ロシアのウクライナ産農産物 輸出合意停止 国連安保理でも非難

ロシアがウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表したことについて、国連の安全保障理事会でも、欧米各国などから世界の食料安全保障を脅かすと、非難する声が相次ぎました。一方のロシアは、自国産の農産物などの輸出が実現しなければ合意には復帰しないと主張し、もはや黒海での安全な航行は保証されないとして、ウクライナ側をけん制しました。

国連安保理では17日、ウクライナ情勢をめぐる閣僚級会合が開かれ、直前にロシアがウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表したことから、各国から非難する声が相次ぎました。

このうちイギリスのクレバリー外相は「ロシアの行動は、アフリカや中東、南アメリカの最も貧しい人たちから食べ物を奪うものだ」と非難したほか、日本の武井外務副大臣も「ロシアが世界のほかの地域を人質に取ったことを非難する」と述べました。

食料の不足が懸念されるアフリカのガーナの国連大使も「戦争が第三国に悪影響を及ぼさないよう、管理することが重要だ。合意が延長されず、深く失望している」と失意を示しました。

また関係国として出席したウクライナのクレバ外相も「ロシアは世界を脅迫している」と非難し、国際社会はロシアに合意への復帰を強く迫るべきだと訴えました。

これに対してロシアのポリャンスキー国連次席大使は、ロシア産の農産物などの輸出が実現しなければ合意には復帰しないとしたうえで「ウクライナは合意を利用して黒海からロシア側への挑発と攻撃を繰り返している」などと主張し「これは黒海の安全な航行の保証の終わりを意味する」とも述べ、ウクライナ側を強くけん制しました。