秋田で記録的大雨 きょうも雨が続く見込み 川の氾濫など警戒を

活発な前線の影響で東北北部を中心に雨が降り続き、秋田県ではわずか半日で平年の7月1か月分の雨量を上回る記録的な大雨となり、秋田市では中心部を含む広い範囲が浸水しています。

東北北部では16日も雨が続く見込みで、低い土地の浸水や川の氾濫、土砂災害に引き続き厳重な警戒が必要です。

雨がやんだり弱まったりしたとしても、災害の危険度が高い状態が続くと見込まれるため、安全な場所で過ごすようにしてください。

気象庁によりますと、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、東北の日本海側では雨が降り続き、秋田県では断続的に激しい雨が降っています。

秋田県では記録的な大雨となり、昨夜遅くまでの24時間の雨量は
▽秋田市太平山で328ミリ、
▽藤里町で273.5ミリ、
▽八峰町で229ミリ、
▽秋田市で188.5ミリ、
▽能代市で180.5ミリ
などとなったほか、男鹿市では15日夕方までに244ミリといずれも気象庁が統計を取り始めてから最も多くなりました。

このうち、秋田市太平山と男鹿市と八峰町では平年の7月1か月分の雨量を上回ったほか、そのほかの地点でも1か月分にせまる雨量となっています。

この雨で秋田県と青森県、岩手県では土砂災害の危険性が非常に高くなっているとして「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。

秋田市を流れる太平川では氾濫が発生し、警戒レベル5に相当する氾濫発生情報が出るなど秋田県内では複数の中小河川が氾濫しました。

また、雄物川の上流では氾濫の危険性が非常に高まっているとして氾濫危険情報が発表されています。

雨は弱まっても降り続く

今後の見通しです。

前線は16日にかけて東北付近に停滞し、東北北部では16日にかけて断続的に激しい雨が降るおそれがあります。

16日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで▽東北北部で120ミリ、▽東北南部で100ミリと予想されています。

その後も雨の量は増え、17日夕方までの24時間では▽東北北部で50ミリから100ミリ、▽東北南部で50ミリの雨が見込まれています。

気象庁は低い土地の浸水や川の氾濫、土砂災害に厳重な警戒をするよう呼びかけています。

秋田県では経験したことのない大雨となり、秋田市の中心部では広い範囲で浸水しています。

今後、雨が弱まったりやんだりしたとしても、中小河川が流れ込む大きな川で水位が上昇する可能性があるほか、浸水が長く続くおそれもあります。

夜間は道路など周囲の状況を把握しづらいため、無理に移動するのは危険です。

気象庁のホームページの「キキクル」などで最新の情報を確認したうえで、川には近づかず、浸水している地域では移動を控え、引き続き安全な場所で過ごすようにしてください。

災害時 “何よりも自分自身の安全確保 最優先に行動を”

東北で大雨が続いています。

災害時には地域で助け合う「共助」も有効とされていますが、活動中に土砂災害や洪水に巻き込まれて死亡するケースが相次いでいて、専門家は「災害が起きている中での活動は慎重でなければならず、何よりも自分自身の安全確保を最優先に行動してほしい」と呼びかけています。

富山県では、12日の夜遅くに線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となり、南砺市の山あいの集落では、地域の住民に避難を促していたとみられる市議会議員の男性が土砂崩れに巻き込まれて死亡しました。

地域の住民を助けに行ったり、避難誘導したりする共助の活動中に命を落とす、いわゆる「共助死」は、これまでにも確認されていて、6月には和歌山県で、近所に住む女性の避難を手伝おうとしたとみられる男性が冠水した道路で流され、亡くなりました。

豪雨災害の被害などに詳しい静岡大学の牛山素行教授のまとめによりますと、風水害による共助死は、この20年余りで少なくとも11人にのぼり、西日本豪雨以降の5年間は、2020年を除いて毎年、起きているということです。

牛山教授は「富山県の現場近くには、川が流れ氾濫の危険性もあり、おそらく尋常でない状況のなか避難を呼びかけようとされた気持ちは当然で理解できる。しかし、前線による大雨は、ピンポイントに雨が強まる時間帯や場所を予測するのが難しく、状況も刻々と変わるため、まずは何よりも自分自身の安全確保を第一に行動することが大切だ」と指摘しています。

そのうえで、「ハザードマップなどで、事前に自分が住む地域の災害のリスクを確認し、気象庁の『キキクル』などを活用して、危険な状況を示す紫や黒の表示がないかなど、リアルタイムに把握して早めに避難することがとても重要になる」と話していました。

さらに、直接助けに行くのが難しい場合にできることとして、「電話で身の安全を確保する方法を伝えるなど、現場に直接立ち入らず呼びかけることなどを考えてほしい」と話しています。