米俳優の労働組合 43年ぶりストライキへ 映画の撮影中止も

アメリカの俳優でつくる労働組合は報酬の引き上げやAIの活用に関する規制づくりなどを求めて43年ぶりのストライキに入ることを決めました。すでに脚本家の組合もストライキを行っていて、ハリウッド映画などの撮影の延期や中止が避けられない見通しです。

アメリカの俳優でつくる労働組合は13日、ロサンゼルスで記者会見を開き、翌14日午前0時から43年ぶりにストライキに入ると発表しました。

組合側は、動画配信サービスの急速な拡大を受けた配信作品に対する報酬の引き上げや、利用が拡大する生成AIに関する規制づくりを求めて映画会社などの団体と交渉を続けてきましたが決裂したということです。

AP通信によりますと、この労働組合には映画やテレビに出演する俳優がおよそ6万5000人、所属しているということです。

また、1万1000人余りが所属するアメリカ脚本家組合もことし5月から同じような要求を掲げたストライキを行っていて、2つの組合が同時にストを行うのは1960年以来、63年ぶりだということです。

ストライキによってハリウッドの映画や動画配信のドラマなどの撮影の延期や中止が避けられない見通しです。

労働組合代表「私たちの仕事 奪われてしまう危機」

記者会見でアメリカの俳優でつくる労働組合のフラン・ドレシャー代表は「ビジネスモデルそのものが動画配信やデジタル、AIで変わってしまった。いま断固たる態度をとらなければ私たちの仕事は機械と大企業に奪われてしまう危機にある」と訴えました。

日本含む海外の映画関連イベントにも影響の可能性

アメリカの俳優でつくる労働組合のストライキは日本を含む海外での映画関連のイベントにも影響する可能性があります。

組合によりますとストライキでは映画やテレビの俳優に対し、カメラの前での演技や、歌ったり踊ったりする仕事を行わないことや、声の出演も行わないよう求めています。

また、作品の宣伝のためのインタビューなどプロモーション活動も行わないよう求めています。

複数のメディアによりますと13日、イギリスで行われた映画「オッペンハイマー」の公開初日の舞台あいさつでは俳優のキリアン・マーフィーさんやエミリー・ブラントさん、マット・デイモンさんなど主要キャストが会場から退出し、連帯の意志を示したということです。