タイ外相 スー・チー氏との面会をASEAN外相会議で報告

インドネシアで開かれたASEAN=東南アジア諸国連合の外相会議で、タイの外相がミャンマーで軍に拘束されている民主派指導者、アウン・サン・スー・チー氏と面会したことを報告しました。外国の要人のスー・チー氏との面会が確認されたのは、おととしのクーデター以降初めてで、事態の打開に向けて、どのような影響を及ぼすかが注目されます。

インドネシアのジャカルタで開かれたASEANの外相会議では、軍と民主派勢力などとの戦闘が続くミャンマー情勢について協議しました。

この中で、ミャンマーの軍側と関係が深い隣国タイのドン外相は、会議直前の今月9日にミャンマーを訪問し、首都のネピドーで軍に拘束されている民主派指導者、アウン・サン・スー・チー氏と面会したことを報告しました。

タイ外務省によりますと、ドン外相は「スー・チー氏は対話を支持するとともに、この2年でミャンマーの人たちや経済が受けた犠牲に懸念を示した」と説明しました。

また会議のあと、ドン外相は記者団に対し「スー・チー氏の健康状態は良好だった」と述べました。

外国の政府要人のスー・チー氏との面会が確認されたのは、おととしのクーデター以降、初めてです。

会議直前のタイ政府の動きについて、ミャンマーの軍側に厳しい姿勢をとってきたマレーシアやフィリピンの高官は、それぞれNHKの取材に対し「ASEANの結束を壊すもので議長のもとで調整されるべきだ」と述べて、不快感を示しました。

ミャンマー情勢をめぐり加盟国の間で立場の隔たりがある中で、今回のタイの外相のスー・チー氏との面会が事態の打開に向けて、どのような影響を及ぼすかが注目されています。

インドネシア外相「暴力の即時停止など 5項目は依然 基準」

議長国インドネシアのルトノ外相は会議のあと、記者団に対し、おととしにミャンマー軍のトップも立ち会ってASEANで合意した暴力の即時停止などの5項目の履行が、引き続き優先事項であることを会議で改めて確認したと強調しました。

その上で「5項目は依然として基準であり、ほかのイニシアチブはその実施を後押しし、かつ5項目に沿ったものでなければならない」と述べて、ミャンマーの軍側とのパイプを使って独自の動きを強めるタイをけん制しました。