NATO首脳会議始まる ウクライナ支援強化の方針示す

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議が11日、バルト三国のリトアニアで始まり、ストルテンベルグ事務総長は冒頭、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援をさらに強化していく方針を示しました。

NATOの首脳会議は、リトアニアの首都ビリニュスで日本時間の午後8時すぎから始まりました。

ストルテンベルグ事務総長は冒頭「われわれはきょう、ウクライナへの政治的、実用的な支援を増強する」と述べ、ロシアに対抗するためウクライナへの支援をさらに強化していく方針を示しました。

会議は2日間にわたって行われ、アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領など31の加盟国の首脳に加え、10日のトルコとの会談で加盟に向けて大きく前進したスウェーデンのクリステション首相も参加しています。

主な議題はウクライナに対する支援でウクライナ軍への複数年にわたる支援やNATO加盟国とウクライナが対等の立場で協議する「NATOウクライナ理事会」の創設で合意する見通しです。

さらに、加盟国の間で立場が分かれているウクライナの将来のNATO加盟をめぐっても協議します。

ウクライナについてNATOは15年前「将来加盟する」ということで合意していて、今回の首脳会議でどこまで踏み込んだメッセージを打ちだすかが焦点です。

フランスとドイツ ウクライナに追加の軍事支援へ

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議に参加しているフランスとドイツは11日、反転攻勢を続けるウクライナに、それぞれ追加の軍事支援を行うことを発表しました。

このうち、フランスのマクロン大統領は「相手の敵陣深くまで攻撃する能力を持てるようにするため、武器と装備の供給を増やし、長い射程のミサイルを供与することを決めた」と述べ、ロシア側が築いた防衛線の突破などを目指すウクライナ軍への支援を強化する方針を明らかにしました。

そのうえで「私たちにとってきょう重要なのはウクライナへの支援、NATOの結束、そして、ロシアをこの戦争に勝たせないという強い決意をメッセージとして送ることだ」と強調しました。

また、ドイツ政府も、およそ7億ユーロ、日本円にして1000億円余りに相当する軍事支援を表明しました。

この中には、
▽地対空ミサイルシステム「パトリオット」2基
▽「マルダー歩兵戦闘車」40両
▽主力戦車「レオパルト2」より旧式の「レオパルト1」25両などが、含まれています。

ドイツのショルツ首相は、報道陣に対し「ドイツはウクライナ支援の中心を担っている」などと述べ、ウクライナへの軍事支援を続ける姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領 “ウクライナ抜きで議論”

ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、NATO首脳会議で始まった議論を巡り、「私は、会場のリトアニアのビリニュスに向かっているが、ある文言について、ウクライナ抜きで議論されていると知った。この文言とは、ウクライナの加盟そのものではなく、加盟に向けた招待に関するものだ」とSNSに投稿し、今回、ウクライナの将来的なNATO加盟を認めることなど、ウクライナの求めに応じた議論が行われていないと不満を示しました。

さらに「NATOへの招待や加盟までの期限も示されないとすれば、なんともばかげた話だ。ウクライナをNATOに加盟させる用意もなく、これによって、ロシアはテロ行為を続けることになるだろう」と反発しています。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は「会議で率直に議論する」と述べ、ウクライナがNATOに加盟する必要性を直接訴えるとしています。

“さらなる国防費の増額検討を” NATO首脳会議前に

今回のNATO首脳会議では、防衛力の強化に向け、各国はGDP=国内総生産に占める国防費の割合を最低でも2%にすることで合意する見通しですが、会議を前に、一部の国の首脳は、さらなる国防費の増額に言及しました。

このうち、バルト三国のラトビアのカリンシュ首相は「2027年には、GDPに占める国防費の割合が3%になる計画だ」と明らかにしたうえで、新型兵器の購入を進めた場合、早ければ来年にも3%に達する可能性があるとしました。

また、ルーマニアのヨハニス大統領も、GDPに占める国防費の割合を現在の2.5%から、今後数年のうちに増やす可能性があるとしました。

そのうえで「2%は上限ではなく、われわれのスタート地点とするべきだ」と述べ、ほかのNATO加盟国も今後、国防費のさらなる増額を検討すべきだという考えを示しました。

ロシア大統領府 「反ロシアの首脳会議」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は11日、NATOの首脳会議について「反ロシアの首脳会議だ。われわれの安全保障を守る対策をとるために、非常に注意深く見ている」と述べ、警戒感を示しました。

そして、スウェーデンがNATO加盟に向けて、大きく前進したことに対するロシアの安全保障への影響について、ペスコフ報道官は「間違いなく悪影響がある。ロシアはフィンランドが加盟したときと同様の措置を計画している」と述べ、対抗措置を行う考えを示しました。

そのうえで、ウクライナのNATO加盟をめぐる議論について、「ヨーロッパの安全保障にとって非常に大きな危険をはらんでいる」と強くけん制しました。

一方、ペスコフ報道官は、トルコとの関係について「意見の相違はあるが、トルコとの対話と関係を発展させるつもりだ」と述べ、友好関係を維持してきたトルコとの関係の悪化は避けたい考えをにじませました。

ベラルーシ国防省 ワグネルむかえ軍と訓練行う構え

ロシアと同盟関係にある隣国ベラルーシの国防省は11日、ベラルーシの演習場で、ロシア軍との定期的な合同軍事演習の準備が行われているとしたうえで「安全保障に対する脅威が生じた場合は、安全を確保するため、両国の部隊は即時に出動できる態勢を準備している」と発表しました。

さらに、ロシアの民間軍事会社ワグネルについて「訓練を行い、経験を共有するために演習場に分散したあと、ベラルーシ軍との間で、戦闘作戦の技術や方法に注意を払うことになる」として、ワグネルをむかえ、ベラルーシ軍と訓練を行う構えを示しました。

ベラルーシとの国境にも近いリトアニアの首都ビリニュスでは、NATO=北大西洋条約機構が首脳会議を開く中、欧米側をけん制するねらいがあるとみられます。