NATO スウェーデンの加盟へ大きく前進 トルコ“議会にはかる”

スウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟についてトルコがなるべく早く議会にはかることで合意したことを受け、アメリカのバイデン大統領らは声明などを発表し、歓迎しました。今後、トルコ議会での批准の手続きがどれだけ早く進むかが注目されます。

NATO首脳会議を翌日に控えた10日、リトアニアの首都ビリニュスでトルコのエルドアン大統領とスウェーデンのクリステション首相が会談し、エルドアン大統領はスウェーデンの加盟に向けてなるべく早くトルコ議会で批准の手続きを進めることに合意しました。

会談後の会見でスウェーデンのクリステション首相は「われわれはスウェーデンのNATOへの正式加盟に向けて、非常に大きな一歩を踏み出すことができた」と述べて喜びの意を表しました。

これについてアメリカのバイデン大統領は「スウェーデンをNATOの同盟国として迎えることを楽しみにしている」と歓迎する声明を発表しました。

ドイツのベアボック外相も「スウェーデンのNATO加盟へトルコ議会での批准の道がようやく開けた」とSNSに投稿しました。

一方、トルコのエルドアン大統領は「今後のプロセスはもちろん合意の履行を進めていくことだ」と述べ、スウェーデンに対しクルド人武装組織などを念頭に対策を着実に講じるよう重ねて求めていて、今後、トルコ議会での批准の手続きがどれだけ早く進むかが注目されます。

松野官房長官「NATO加盟申請の決断を支持」

松野官房長官は閣議の後の記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略などにより、国際安全保障環境が厳しさを増す中、同志国間の連携がこれまで以上に重要になっているとの観点から、スウェーデンによるNATO加盟申請の決断を支持している」と述べました。

そのうえで、岸田総理大臣がリトアニアで11日から開かれるNATOの首脳会議に出席することに触れ「日本とNATOの連携・協力を新たな高みに引きあげるべく、日NATOの協力文書を発表したい。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、NATOとの連携を一層強化していく」と述べました。

トルコのねらいは

トルコとしては自国からの分離独立を掲げるクルド人武装組織のメンバーへの対策などでスウェーデンとの間で具体的な進展がみられたことなどから承認のプロセスを進めたものとみられます。

NATOが発表した声明ではテロ対策の担当者を新たにNATOに配置するとしていてトルコのメディアはスウェーデンの取り組みの監視につながると評価しています。

また声明ではトルコが目指すEU=ヨーロッパ連合の加盟をめぐっても「スウェーデンはEU加盟プロセスの再活性化を積極的に支援する」としていて、協力をとりつけた形となりました。

一方で、トルコ国内では加盟の問題を長引かせれば欧米各国との関係悪化を招き、記録的なインフレと通貨安に苦しむトルコ経済に打撃となるという懸念も出ていました。

今後は、スウェーデンの加盟についてトルコ議会がいつ批准するかが焦点となります。

ただ、先月スウェーデンでイスラム教の聖典コーランを燃やす集会が開かれたことで、スウェーデン政府への反発の声があがっていることを踏まえ、トルコメディアは議会が世論に配慮して批准を急がないのではないかという見方も示しています。