【河川情報】大分 佐賀 福岡で氾濫発生情報 浸水に厳重警戒を

国土交通省によりますと、国が管理する大河川で警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」が出されているところがあり、川の水位は雨がやんだあと上がることがあるため、引き続き厳重な警戒が必要です。

【大河川の状況は】10日午後4時時点

未明からの大雨で10日午後4時の時点で、国が管理する大河川で警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」が出されているのは福岡県や佐賀県、大分県を流れる▽「筑後川上中流部」です。

筑後川では久留米市の片ノ瀬水位観測所で当分の間、氾濫危険水位が続く見込みで、▽久留米市、▽朝倉市、▽大刀洗町▽小郡市、▽うきは市では浸水のおそれがあります。

大分県、佐賀県、福岡県で氾濫発生情報

このほか警戒レベル5相当の「氾濫発生情報」は▽大分県を流れる「山国川上流部」と、花月川▽佐賀県を流れる「徳須恵川」で発表されたほか▽福岡県を流れる小石原川、巨瀬川、▽佐賀県などを流れる城原川でも発表されました。

川の水位は雨がやんだあと上がることがあり引き続き、厳重な警戒が必要です。
少しでも高い場所に移動するなど、安全を確保するようにしてください。

専門家「大きな河川ほど大雨と水位上昇のピークにずれ」

河川の氾濫のメカニズムに詳しい東京理科大学の二瓶泰雄教授は「大分県と福岡県を流れる山国川や福岡県や熊本県などを流れる筑後川は流域が主に東西に広がり、今回、線状降水帯などの雨雲が流域に沿うように発生して記録的な大雨となった。このため山国川や、筑後川の支流の▽小石原川や▽巨瀬川で氾濫が発生したとみられる」と指摘しています。

また、「山国川や筑後川などの大きな川の下流部では、今後、合流する川から大量の水が集まるため、大雨が弱まったあと時間差で水位が上昇し、氾濫が起きる危険性がある。2019年の台風19号の際には特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川で氾濫が発生したことがあり、大きな河川ほど大雨と水位が上昇するピークにずれが生じやすい。増水した川には近づかず警戒を続けてほしい」と話しています。

福岡県朝倉市 小石原川ダム 緊急放流中止

ダムを管理する水資源機構によりますと筑後川水系で福岡県朝倉市にある小石原川ダムは、午前11時40分ごろから緊急放流を行う予定でしたが、ダムへの水の流入量が減りダムの水位が下がり始めたため緊急放流を中止すると決めたということです。

山口県下関市 員光川の堤防決壊

山口県下関市では大雨の影響で員光川の堤防が決壊し、周囲の農地が水につかる被害がでています。

県によりますと員光川は9日、堤防の一部が決壊しているのが見つかりました。

10日も未明からの雨で、川の水位が上がり、決壊した場所から茶色く濁った水が周囲の農地に流れ込んでいる様子が確認できました。

【氾濫発生情報】10日9時時点

災害がすでに発生していることを示す警戒レベル5相当の「氾濫発生情報」が発表されているのは、
▽大分県を流れる「山国川上流部」と、
▽佐賀県を流れる「徳須恵川」です。

▽「山国川上流部」では、大分県中津市の耶馬溪町柿坂で氾濫が発生しました。
その後も下流側では水位が上昇しています。厳重な警戒が必要です。

▽「徳須恵川」では、佐賀県伊万里市の南波多町水留で氾濫が発生しました。
この氾濫による浸水が想定される地区は、伊万里市の南波多です。

このほか、県が管理する川でも氾濫が相次いでいます。少しでも高い場所に移動するなど、できるかぎり安全を確保するようにしてください。

【氾濫危険情報】10日9時時点

自治体から発令される避難指示に注意が必要な警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」が発表されているのは、福岡県や佐賀県を流れる「筑後川上中流部」と、佐賀県を流れる「厳木川」です。

▽「筑後川上中流部」では、久留米市の片ノ瀬水位観測所で、当分、氾濫危険水位付近の水位が続く見込みです。久留米市、朝倉市、大刀洗町、小郡市、うきは市では浸水のおそれがあります。筑後川では下流部も水位が上昇していて午前8時50分に氾濫警戒情報が発表されました。

▽「厳木川」では、唐津市の中島橋水位観測所で、当分の間、氾濫危険水位付近の水位が続く見込みです。「厳木川」では、堤防の決壊などによる氾濫のおそれがあり、唐津市では浸水のおそれがあります。

佐賀県神埼市 城原川で氾濫

国土交通省の筑後川河川事務所によりますと、佐賀県神埼市を流れる城原川は、神埼町の「ふるさと大橋」付近で、午前7時10分ごろ、川の水位が堤防を越えて水があふれ、「越水」による氾濫が発生したということです。

越水は「ふるさと大橋」付近の、左右の岸の3か所で確認されたということです。

国土交通省は5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して最大級の警戒を呼びかけています。

大分県日田市 花月川で氾濫

大分県日田市によりますと、日田市を流れる花月川は財津橋付近の右岸で幅およそ50メートルにわたって越水しているということです。また、その上流にある橋の近くの右岸でも幅100メートルから150メートルにわたって越水しているということで、現在、被害の状況を確認しています。

国土交通省筑後川河川事務所は午前9時、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して、最大級の警戒を呼びかけています。

大分県中津市 山国川で氾濫

国土交通省と大分地方気象台によりますと、この大雨で、大分県を流れる山国川は中津市の耶馬渓町柿坂地区で氾濫が発生したということです。

国土交通省山国川河川事務所と大分地方気象台は、午前7時20分、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して、最大級の警戒を呼びかけています。

山国川の源流部にあたる福岡県の英彦山にある気象庁の観測地点では午前9時40分までの12時間に降った雨の量が347ミリに達し、1988年の統計開始以来最も多い記録的な大雨となっています。特に上流部では堤防が整備されていない地域が多く、平成24年の豪雨でも未整備区間から水があふれて住宅が浸水しています。

福岡県久留米市 巨瀬川で越水

国土交通省によりますと、福岡県久留米市を流れる巨瀬川は田主丸の村島橋付近で越水が発生しているということです。

国土交通省筑後川河川事務所は午前7時20分、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して、最大級の警戒を呼びかけています。

福岡県大刀洗町 小石原川で越水

国土交通省によりますと、福岡県大刀洗町を流れる筑後川水系の小石原川は越水が起きているということです。

国土交通省筑後川河川事務所は午前6時20分、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して、最大級の警戒を呼びかけています。

佐賀県伊万里市 徳須恵川で氾濫

国土交通省の武雄河川事務所と、佐賀地方気象台は、午前5時50分ごろ、伊万里市を流れる徳須恵川上流の南波多町の右岸で川の水位が堤防を越え水があふれる「越水」、左岸で堤防のない場所から水があふれる「いっ水」による氾濫が発生したと発表しました。

浸水が想定される地域は、伊万里市の南波多地区です。

武雄河川事務所によりますと、現在、「越水」や「いっ水」は解消されているということですが、河川の水位は高い状態が続いているということです。

国土交通省と気象台は5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を出して最大級の警戒を呼びかけています。