「彦根城」世界遺産の事前評価で登録へ 今年度の推薦は見送り

世界文化遺産をめぐり、政府は、滋賀県にある「彦根城」についてユネスコの諮問機関が事前に関与して助言する「事前評価」を活用して登録を目指すと発表しました。こうしたことから、世界文化遺産の今年度のユネスコへの推薦は見送られることになりました。

これは永岡文部科学大臣が閣議のあとの記者会見で明らかにしました。

およそ400年前に建てられた「彦根城」は、大名の御殿や重臣の屋敷など政治の拠点施設としての建物などが数多く残されるとともに周辺の村やびわ湖からも見えるよう作られた城郭が長く維持され、江戸時代の統治の仕組みを象徴する存在だとしています。

世界遺産の登録方法をめぐっては、ユネスコの諮問機関と世界遺産委員会での評価の違いが問題視され、各国が世界遺産委員会に暫定版の推薦書を提出する前に諮問機関が事前に関与して助言する「事前評価制度」がことしから導入されました。

政府は「彦根城」について諮問機関との対話を通じて世界遺産としての普遍的価値を十分に明らかにする必要があるとして「事前評価制度」を活用し、9月15日の締め切りまでに関連書類を提出すると発表しました。

また、「彦根城」と並んで世界遺産の登録に向けた有力な候補としている奈良県の「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」は、文化財の保護や国際的な理解を得るための説明の充実などがなお必要だとして世界遺産登録に向けて今後の対応を引き続き検討していくということです。

こうしたことから、世界文化遺産の今年度のユネスコへの推薦は見送られることになりました。