【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プリゴジン氏保有のメディアグループ閉鎖 “情報発信やめる”

ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏をめぐり、プリゴジン氏が保有するメディアグループ「パトリオット」の代表は6月30日、グループを閉鎖し、情報発信の活動をやめると発表しました。

また、ロシアのメディアは、ロシアで通信などの事業を監督する当局がプリゴジン氏が保有するメディアへのアクセスを遮断したと伝えています。

ロシア ベラルーシ配備の核兵器はロシアが管理と強調

ロシアは同盟関係にある隣国ベラルーシへの戦術核兵器の配備を表明し、6月には核兵器の搬入が始まっていると明らかにしています。

これについて、ロシアのリャプコフ外務次官は1日に公開された国営のタス通信へのインタビューで、「ベラルーシへの核兵器の配備は、連合国家としての枠組みで行うものであり、NPT=核拡散防止条約の規定を超えるものではない。強調すべきことは、ロシアは核兵器の管理を移すわけではないということだ」と主張し、ベラルーシに配備される核兵器はロシア側によって管理されると強調しました。

そのうえで「アメリカこそ、ロシアを攻撃できるように自国の領土から数千キロも離れた場所に核兵器を配備してきた」などと述べて欧米へのけん制を強めています。

ポーランド NATOの「核共有」への参加求める

ポーランドのモラウィエツキ首相は、隣国のベラルーシにロシアが戦術核兵器を配備する方針を示していることに強い懸念を示した上で、アメリカの核兵器をNATO=北大西洋条約機構の加盟国に配備する「核共有」への参加を求めていることを明らかにしました。

「核共有」は、アメリカの核兵器をNATO加盟国に配備し、有事の際は共同で運用するものでドイツなど5か国が参加しているとされていますが、ポーランドは含まれていません。

モラウィエツキ首相は「もちろん決断はアメリカやNATOのパートナー次第だが、迅速な行動を望むことを宣言する」と述べ、アメリカなどに検討を急ぐよう求めました。

一方、ロシアの前の大統領で現在は安全保障会議の副議長をつとめるメドベージェフ氏は1日、ポーランドのモラウィエツキ首相がアメリカの核兵器を共有する「核共有」に参加することを求めていると述べたことに対し「ポーランドに核兵器が配備されたら、使用されるという脅威がある」とSNSに投稿し反発しています。

ウクライナ政府“露が原発へのテロ計画” 露外相“全くのうそ”

ウクライナ政府は、ロシアが原発へのテロを計画し、施設に地雷を仕掛けているとも主張していて、エネルギー省は、原子力事故に備えて南部のザポリージャ州やミコライウ州、ヘルソン州、そして東部のドニプロペトロウシク州で軍や専門家などが参加した大規模な訓練を行ったと発表しました。

ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は地元メディアに対し「原発へのテロ攻撃は民間人に対する核兵器の使用とみなされる。世界がどのような反応を示すか注視するつもりだ。こうした事態が起きることを防ぐためあらゆることを行う」として国際社会も警戒する必要があると訴え、ロシア側を強くけん制しました。

これに対しロシアのラブロフ外相は30日「ウクライナ側の主張は全くのうそだ」などと改めて否定しています。

米シンクタンク “露側が揺さぶり強めている可能性”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は30日、原発へのテロは、ロシア軍にも深刻な影響となりかねないと指摘し「ロシア軍が意図的な『事故』を引き起こす可能性は依然として低いが、放射線の脅威を利用し、ウクライナの反転攻勢や欧米の軍事支援を抑えようとしている可能性が高い」と指摘し、今月11日に始まるNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に向けてロシア側が揺さぶりを強めている可能性があると分析しています。

IAEA事務局長 “ザポリージャ原発で地雷見つからず”

ロシア軍が占拠を続けるウクライナのザポリージャ原子力発電所をめぐり、ウクライナ側が、ロシアがテロを計画し、地雷を仕掛けているとも主張する中、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は30日、声明を発表しました。

それによりますと、原発に常駐しているIAEAの専門家による調査の結果、これまでに施設内で地雷などの爆発物は見つかっていないということです。

一方、グロッシ事務局長は「完全なアクセスが必要だ」として、より詳しい調査を行うため、原発の敷地内で専門家らの自由な行動が認められるべきだという考えを示しました。

ぜレンスキー大統領 “ウクライナ北部の防衛強化へ”

ウクライナのゼレンスキー大統領は6月30日、SNSでザルジニー総司令官など軍幹部との会議を開催し、ベラルーシと国境を接するウクライナ北部の防衛を強化する方針を決定したと明らかにしました。

ベラルーシをめぐっては、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏が活動の拠点を移した可能性があり、ワグネルの戦闘員のためキャンプが建設されている動きも伝えられているため、ウクライナ側が警戒を強める姿勢を示した形です。

印モディ首相 武装反乱めぐるロシアの行動を支持

ロシアの大統領府は先月30日、プーチン大統領がインドのモディ首相と電話会談したと発表しました。

大統領府によりますと、プーチン大統領は民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱について触れ、モディ首相はロシア指導部の断固とした行動に理解と支持を示したということです。

反乱の影響が伝えられる中、ロシアとしては来週開かれる上海協力機構の首脳会議を前に議長国であり伝統的友好国のインドの支持を確認し、引き続き連携を強化していきたいねらいがあるとみられます。

インド政府も電話会談について声明を発表し、モディ首相はプーチン大統領から近況について報告を受け、今後も連携を強化していくことを確認したとしています。

インドは長年、兵器の調達をロシアに依存しているほか、ウクライナ侵攻後もロシア産原油の輸入量を増やしていて、引き続き、ロシアとの関係を維持する姿勢を示した形です。

一方、両首脳はウクライナ情勢についても意見を交わし、モディ首相は対話と外交に立ち戻るようプーチン大統領に伝えたとしていて、ロシアの軍事侵攻を支持も非難もしない中立的なインドの立場を改めて示したものとみられます。