大谷翔平 27・28号 “二刀流”で1試合2ホームランは初 7勝目も

大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手がホワイトソックス戦に投打の二刀流で出場し、2本のホームランを打って7回途中まで1失点と好投して7勝目をあげました。大リーグで投打の二刀流で出場した試合でホームランを打ったのは通算9回目ですが、1試合で2本のホームランを打ったのは初めてです。

大谷選手は27日、本拠地アナハイムで行われたホワイトソックス戦に先発ピッチャー兼2番・指名打者で出場しました。

大谷選手は、1回にスプリットで2者連続三振を奪う上々の立ち上がりを見せると、そのウラの最初の打席で甘く入った速球を見逃さず2試合連続となる27号ソロホームランを打ってみずから先制点をあげました。

投げては直後の2回に1アウト三塁のピンチを招きましたが、2者連続の空振り三振で得点を許さず、その後は6回まで三塁を踏ませないピッチングでした。

大谷選手は2点リードの7回に1アウト一塁二塁のピンチを招いたところでマウンドを降り、かわったピッチャーがタイムリーヒットを打たれて1点を返されたため、7回途中1失点となりました。

球数は102球、打たれたヒットは4本、フォアボールは2つで、三振10個を奪い、防御率は3.02となりました。

大谷選手はマウンドを降りた直後の7回ウラの第4打席に28号ソロホームランを打ち、再びリードを2点に広げました。

このほかの打席は3回の第2打席がフォアボール5回の第3打席はライト前ヒットで、この試合は3打数3安打2打点、フォアボール1つで打率は再び3割を超えて3割4厘となりました。

エンジェルスは4対2で勝ち、大谷選手が勝ち投手となって今シーズンの成績は7勝3敗となりました。

エンジェルスはこの日で今シーズンの半分の試合が終わり、44勝37敗で地区2位でプレーオフ進出圏内につけています。

大谷選手はホームラン28本、打点64と、2部門で両リーグを通じて単独トップとなっていて、ホームランは今のペースだとシーズン56本となります。

大谷「マウンドでも打席でも声援が励みに」

大谷選手は試合後、グラウンドで現地テレビ局のインタビューに答え「きょうのピッチングはそこそこよかった。ことしは打席もいい内容が多い。きょうは決め球もよかったし、7回をしっかり抑えて終えたかったが、中継ぎに助けられていい試合だったと思う。マウンドでも打席でも声援が励みになっているので、もっともっと大きい声援がもらえたらうれしい」と最後は、盛り上がるファンに向かって応えました。

「理想のスイングの軌道」でホームラン量産

大谷選手は投打の二刀流で出場した試合で初めてとなる1試合2本のホームランを打ち、今月の成績は27日の試合を終えて自己最多に並ぶ月間13本のホームラン、さらに打率3割8分3厘、26打点と驚異的な活躍を見せています。

その要因について大谷選手は「いい軌道でバットを振れているのが一番。自分の理想の軌道で振れているときは右ピッチャー、左ピッチャー関係なく、球種も関係なく詰まっても泳いでもしっかり振れる準備ができている」と分析していました。

そのことば通りこの試合、2本目のホームランを打った第4打席ではワンボールワンストライクからの3球目、アウトコース低めに落ちるスプリットを少しタイミングをずらされながらも、うまくすくうように捉えて左中間のスタンドまで飛ばしました。

この1打について大谷選手は「バッティングの形としても申し分ない感じだった」と振り返っていました。

シーズン56本のペースでホームランを量産している大谷選手が「理想のスイングの軌道」を安定して再現することができれば、おととし惜しくも2本の差で逃した日本選手初となるホームラン王のタイトル獲得の期待が高まります。

先発登板で1試合2ホームランは初

大谷選手のこの試合2本目となる28号ホームランは、ホワイトソックスのトゥサント投手のアウトコース低めのスプリットをうまく拾って左中間スタンドまで運びました。

飛距離は123.1メートル、打球速度は171.2キロで、難しいボールをとらえて貴重な追加点をたたき出し、自身がマウンドを降りて1点差に詰め寄られた直後に再びリードを2点に広げました。

大リーグで投打の二刀流で出場した試合でホームランを打ったのは通算9回目ですが、1試合で2本のホームランを打ったのは初めてです。

また、大谷選手は今月13本目のホームランで、おととし6月にマークした自身の月間最多に並びました。

1本目 27号の“かぶと”は通訳の水原一平さんに

エンジェルスは今シーズン、ホームランを打った選手がベンチに戻ってかぶとをかぶるのが恒例となっていますが、1回に27号ホームランを打った大谷選手はダイヤモンドを1周してベンチに戻ると、両手をぐるぐる回して「交代」のようなしぐさをしたあと、かぶとはかぶらず、すぐベンチ裏に下がりました。

通訳の水原一平さん

代わりにかぶとを受け取ったのは大谷選手の通訳の水原一平さんで、かぶとを持ってベンチ内を走ったあと、最後はてれくさそうにかぶとをかぶって、これもホームランを打った選手がしている、ブルペンの投手陣に向かって刀を振り下ろすポーズをしていました。

大谷選手はマウンドを降りた後の7回に28号ホームランを打った後は、いつものようにかぶとをかぶってチームメートとハイタッチをしていました。

試合前には大谷選手の“ジグソーパズル”配布

27日の試合では日本をテーマにしたイベントが開催され、先着2万5000人のファンに大谷選手のジグソーパズルが配られました。パズルは100ピースで、バットを持った大谷選手の上半身の写真がプリントされています。

スタジアムのコンコースには、ふだんから展示されている大谷選手の大きな首振り人形の隣にかぶとと、胸の部分にエンジェルスのロゴが入ったかっちゅうが飾られ、ファンが記念撮影をしていました。

このかぶとと、かっちゅうは、エンジェルスの選手がホームランを打った時にかぶるかぶとを作った鹿児島県の会社が球団に寄贈したものだということです。

また、試合前には阿波踊りや和太鼓の演奏も披露されました。

かぶと・かっちゅう寄贈は鹿児島 薩摩川内市の会社

かぶととかっちゅうを寄贈したのは鹿児島県薩摩川内市の会社で、大谷選手などがホームランを打ったあと、かぶとをかぶるパフォーマンスのおかげで国内外から大きな反響が寄せられたことから、お礼の気持ちを示したいと先週、球団に向けて発送したということです。

かぶとはパフォーマンスで使われているものと同じ型で、かっちゅうも含め昭和50年代に初代の社長がデザインし価格は合わせて77万円だということです。

エンジェルスのパフォーマンス以降、注文が増えていて、中でもチームが使ったかぶとはことし4月までは数年に1度の注文しかありませんでしたが、今は注文が殺到して制作が追いつかず、受注しても来年3月以降の発送になってしまうほどの人気だということです。

会社の担当者は「エンジェルスの選手のみなさんの活躍を期待する気持ちをかっちゅうに込めました」と話していました。