東洋建設 株主総会で大株主側提案の取締役が半数以上選任

港湾の土木工事などを手がける「東洋建設」の株主総会が開かれ、会社側と大株主の資産運用会社が、それぞれ提出した取締役候補の選任を諮った結果、取締役として選任された13人のうち半数以上にあたる7人を大株主側が提案した取締役が占めるという異例の形になりました。

東洋建設の株主総会は27日午前10時から東京 千代田区の本社で開かれました。

総会では、会社側が退任する社長の後任候補も含め、11人の取締役候補の選任を提案しました。

これに対し、3つの投資会社を通じ、ことし3月末の時点で、会社の株式の27%余りを保有する資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」が独自に推薦した9人の取締役候補の選任を提案しました。

大株主の資産運用会社は去年、会社に対しTOB=株式の公開買い付けによって買収を目指す方針を示していますが、会社側がこれに反対し、双方が取締役候補の選任を求めて争う事態となっていました。

総会では採決の結果、大株主が提案した取締役候補9人のうち、7人が賛成多数で可決され、選任されました。

一方、会社側が提案した取締役候補11人のうち、選任されたのは6人にとどまりました。

この結果、取締役として選任された13人のうち、半数以上にあたる7人を大株主側が提案した取締役が占めるという異例の形になりました。

東洋建設が、新たな経営体制のもとで大株主が提案するTOBを受け入れるかどうかが焦点となります。

東洋建設 “株主の判断を尊重 目指すものは変わらず”

株主総会での採決の結果について、東洋建設は「株主の判断でありますので、尊重して受け入れます。企業価値の向上と株主利益の最大化を目指すことは新しい役員構成になっても何ら変わりません。当社は引き続き、中長期的な企業価値および株主の皆様共同の利益の最大化を実現して参ります」とコメントしています。

株主「とても意外」「株主提案でいい企業になる実例に」

大株主の資産運用会社が提案した取締役の選任に賛成した40代の男性は「自分は少数派だと思っていたので、今回の結果はとても意外だ。東洋建設は今の体制でも利益を上げてはいるが、資産運用会社は『さらに飛躍できる』と説明していたのでそれを信じることにした」と話していました。

また、別の40代の男性は「私は最初、資産運用会社の提案に賛成しようと思ったが、きょうの総会に提案の説明に来なかったので棄権した。ただ、株主提案が通るのは珍しいことだと思う。株主提案によっていい企業になるという実例になってほしい」と話していました。

株主提案した会社「よりよい会社になること 心より望む」

株主総会での採決の結果について、株主提案を行った資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」は、「TOB=株式の公開買い付けによる非公開化の提案を含む、企業価値向上の議論についても、新たな取締役会となったことを踏まえて改めて検討し、東洋建設との協議に真摯(しんし)に臨んでまいります。よりよい会社になることを心より望んでいますし、そうなると固く信じております」とコメントしています。