【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。ロシア国防省との確執を深め、首都モスクワに部隊を進めていた民間軍事会社ワグネルの代表は、部隊を引き返し、本格的な武力衝突は回避されたとみられます。

戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン政権 プリゴジン氏にどう対応した?

ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は26日、武装反乱するとした民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏に対してプーチン政権がどう対応したか伝えました。

「メドゥーザ」が、ロシア大統領府に近い情報筋の話として伝えたところによりますと、プリゴジン氏とロシアの当局者との間で交渉が始まったのは、プリゴジン氏が「正義の行進」を始めると表明した23日の夜だとしています。

プリゴジン氏の要求は、ショイグ国防相の解任や、ワグネルの存続、追加の資金供与だったということで、プーチン大統領にも連絡を試みたものの、大統領は応じなかったとしています。

プーチン政権からは、大統領府のワイノ長官など複数の幹部が交渉を行いましたが、プリゴジン氏は最高位の人物との接触にこだわり、結局ベラルーシのルカシェンコ大統領が関わることになったと伝えています。

プリゴジン氏は、最終的には部隊を引き返させましたが、「メドゥーザ」は情報筋の話として、ワグネルの部隊にロシア軍の兵士が加勢する動きも見られないなか、「プリゴジン氏は、自分が『やり過ぎた』ことを察したのではないか」という見方を伝えています。

ロシア ショイグ国防相が前線で指揮 映像公開

ロシア国防省は日本時間の26日午後「ショイグ国防相が特別軍事作戦の前線の司令部を訪れた」と発表し、ショイグ国防相が部隊の司令官から戦況などについて報告を受けたとする映像を公開しました。

ショイグ 国防相を直接非難し、解任まで要求していたとされるプリゴジン氏が武装反乱を起こす間、ショイグ国防相の動静は伝えられていませんでしたが、ロシア大統領府は武装反乱がウクライナでの軍事作戦にいかなる影響も与えないと主張していて、ショイグ国防相が前線で指揮を執る映像を公開することでロシア軍部隊の動揺をおさえるねらいもうかがえます。

こうした中、反転攻勢を続けるウクライナのマリャル国防次官は26日、SNSに「ここ1週間でウクライナ軍は東部で戦術的な成功を収めた」と投稿しました。

戦況を分析しているイギリス国防省は26日「ウクライナは、より広範な反転攻勢の一環として、東部ドネツク州のバフムト周辺での攻撃に弾みをつけた」と指摘し、ウクライナ軍はプーチン政権の混乱を反転攻勢への追い風にしたいものとみられます。

モスクワ市長「対テロ作戦の制限解除」を発表

ロシアの首都モスクワのソビャーニン市長は、日本時間の26日午後3時すぎにSNSで、対テロ作戦の中で導入していたすべての制限を解除すると発表しました。

また、治安機関のFSB=連邦保安庁は国営のタス通信に対して、モスクワ市とモスクワ州で対テロ作戦の体制を日本時間の26日午後3時に解除したと明らかにしました。

モスクワ市やモスクワ州では、24日から対テロ作戦が宣言され、交通規制が敷かれたりイベントが中止されたりしたほか、市民に対しては不要不急の外出を控えるよう呼びかけられていました。

プリゴジン氏 新たなSNS投稿なし

ロシア大統領府の報道官は、プリゴジン氏がベラルーシに行くという見通しを示しましたが、プリゴジン氏は、日本時間の25日午前2時過ぎに「部隊を引き返させている」とSNSに投稿して以降新しい投稿をしていません。

日本時間の26日正午現在も、詳しい消息はわかっていません。

松野官房長官「重大な関心持って注視」

松野官房長官は、26日午前の記者会見で「プリゴジン氏やワグネルの動向をめぐるロシア国内情勢には、引き続き重大な関心を持って注視していく。在留邦人に対しては、24日に現地の大使館や総領事館から注意を呼びかけるメールを発出しており、安全確保に万全を期す考えだ」と述べました。

その上で「24日に開催したG7外相の電話会合でも、ロシア情勢を含む喫緊の課題について議論し、緊密に連携していくことを確認した。引き続き、G7をはじめとする同志国と緊密に連携しつつ適切に対応していく」と述べました。

岸田首相「G7の連携は確保しながら対応していきたい」

ロシア情勢をめぐり、岸田総理大臣は、民間軍事会社ワグネルによる武装反乱の動向を踏まえ、引き続き今後の状況を注視しつつ、G7=主要7か国が連携して対応していく考えを示しました。

岸田総理大臣は26日朝9時すぎ、記者団に対し「ロシアにおけるさまざまな情勢についてはきのうも関係省庁からブリーフを受け、話を聞いた。引き続き今後の動向について大きな関心を持って注視していきたい」と述べました。

その上で「G7=主要7か国のオンラインでの外相会合も開かれたと聞いており、G7の連携はしっかりと確保しながら今後の情勢に対応していきたい」と述べました。

ゼレンスキー大統領「侵略が長引くほど、ロシアが劣化」

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、新たな動画を公開し、アメリカのバイデン大統領のほかカナダのトルドー首相、ポーランドのドゥダ大統領とも電話会談を行ったことを明らかにし、各国の支援に謝意を示しました。

また、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの動向など一連の情勢をめぐっても意見を交わしたうえで「ロシアの侵略が長引けば長引くほど、ロシア自身がますます劣化する」と強調しました。

ウクライナ国防相「事態は正しい方向に進んでいる」

ウクライナのレズニコフ国防相は25日、アメリカのオースティン国防長官と電話会談を行ったことを、みずからのツイッターで明らかにしました。

この中で、レズニコフ国防相はロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルをめぐる一連の情勢を踏まえ、「ロシアの政権は弱い。ウクライナからロシア軍を撤退させることが、ロシア側にとって最善の選択だという点でわれわれは一致した」としています。そしてウクライナ軍の反転攻勢と今後の展開についても議論したとした上で「事態は正しい方向に進んでいる。ウクライナは勝利するだろう」と主張しています。

また、オースティン国防長官もツイッターに投稿し「われわれは、ウクライナが必要とするかぎり、共に歩んでいく」としています。

ゼレンスキー大統領「プーチン政権の弱さ露呈」米大統領と会談

ウクライナ大統領府は25日、ゼレンスキー大統領が、アメリカのバイデン大統領と電話会談を行ったことを明らかにしました。

会談では、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルをめぐる一連の情勢についても意見が交わされ、ゼレンスキー大統領は「24日の出来事でプーチン政権の弱さが露呈した」と述べたということです。そして、世界がロシアに圧力をかけ続ける重要性を強調したということです。

また、ゼレンスキー大統領は「すべての領土が完全に解放されるまで、ウクライナと共に歩むというアメリカの覚悟に感謝している」と述べ、アメリカの支援に謝意を示した上で、射程の長い兵器の支援など防衛協力のさらなる拡大についても話し合ったということです。

一方、アメリカのホワイトハウスによりますと、バイデン大統領は、会談で、アメリカとして揺るぎない支援を行う意向を重ねて示したということです。

プーチン大統領 ルカシェンコ大統領と今後の対応協議か

ベラルーシの大統領府は、ルカシェンコ大統領がロシアのプーチン大統領と25日午前中に電話で会談したと発表しました。会談の詳細は明らかにしていませんが、ルカシェンコ大統領は前日の24日にも2回にわたって、プーチン大統領と電話で会談し、民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱をめぐって協議したとしています。

ロシア大統領府の報道官は、プリゴジン氏がベラルーシに行くという見通しも示していて、両首脳の間で、今後の対応を協議した可能性もあるとみられます。

米国務長官「非常に深刻な亀裂を目の当たりに」

ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルをめぐる一連の情勢について、アメリカのブリンケン国務長官は25日、ABCテレビのインタビューで、ロシア国内で「非常に深刻な亀裂が生じていることを目の当たりにした」と述べました。

ブリンケン長官は「プリゴジン氏は、ロシアがウクライナに侵攻した前提そのものに疑問を呈し、プーチン大統領のリーダーシップに対して極めて公然と挑戦している」と指摘した上で、プリゴジン氏が、これまでにも公然と批判し緊張が高まっていたため、今回の事態は驚きではないという認識を示しました。

またブリンケン長官はCBSテレビのインタビューで「ロシアの核兵器の態勢に変化は見られない」と述べる一方で、引き続き状況を注視していく考えを示しました。

ロシア外務省 ワグネル対応めぐり “中国の支持を得た”

ロシア外務省は25日、声明でルデンコ次官が中国の北京を訪問し、秦剛外相と会談したと発表しました。

この中で「中国側は6月24日の出来事に関連した国内情勢を安定させるためのロシア指導部の努力に対する支持を表明した」として、民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏がロシアの首都モスクワに向けて部隊を進めた際の対応などについて協議したとみられ、中国側の支持を得たと強調しました。

中国外務省の報道官は25日夜、コメントを発表し「これはロシアの内政問題だ。友好的な隣国として、中国はロシアが国家の安定を維持し、発展と繁栄を実現することを支持する」としています。

北朝鮮「ロシア指導部が下す選択と決定を支持」

北朝鮮外務省のイム・チョンイル外務次官は25日、ピョンヤンに駐在するロシアのマツェゴラ大使と会談しました。

国営の朝鮮中央通信によりますとイム次官は、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏が首都モスクワに向けて部隊を進めたことなどについて「武装反乱事件」と指摘し、「ロシア指導部が下す選択と決定を強力に支持する」と述べたということです。

北朝鮮はウクライナへの軍事侵攻をめぐりロシアを支持する立場を繰り返し表明し、関係強化を図っています。イム次官は会談で「ロシア軍と人民が試練と難関に必ず打ち勝ち、特別軍事作戦に英雄的に勝利することを確信している」と強調したということです。