マイナンバー 別人の障害者手帳の情報ひも付け 静岡で62件

静岡県は、マイナンバーに別の人の障害者手帳の情報がひも付けられていたケースが少なくとも62件確認されたと発表しました。ひも付ける際の確認が不十分だった可能性があるということで、7月中旬までに登録状況の再点検を終えたいとしています。

静岡県によりますと、マイナンバーの個人番号と障害者手帳の情報をひも付ける際に、誤って同姓同名の別の人の情報を登録していたケースが47件、名前も異なる別の人の情報が登録されたケースが15件、確認されたということです。

また、静岡県の障害者手帳を管理するシステムに登録され、マイナンバーとのひも付けの対象となっているおよそ9万件のうち、500件程度について正しくひも付けられているか確認できていないとしています。

5月、利用者から「マイナポ-タルで自分の手帳の情報が確認できない」と問い合わせがあり、調査をすすめたところ、ひも付けの誤りが発覚したということです。

これまでのところ誤って登録された障害者手帳の情報を、別の人が閲覧したケースは確認されていないとしています。

静岡県によりますと、ひも付けの作業は2017年度から障害福祉課の職員1人が主に担当していて、確認が不十分だった可能性があるということです。

静岡県は来月中旬までに登録状況の再点検を終えたいとしていて、障害者支援局の石田雄一局長は会見で「手続きなどでご不便をかけることがあれば申し訳ない」と謝罪しました。

厚労省 全国の自治体に点検するよう通知

厚生労働省によりますと、静岡県が障害者手帳の情報をマイナンバーの個人番号にひも付ける際に、誤って同姓同名の別の人の情報を登録するなどのケースが数十件、起きていたということです。

静岡県は、障害者手帳の情報のひも付けを行う際に、利用者の個人情報のうち「氏名の漢字」と「読み方」それに「生年月日」の情報を使ってマイナンバーの個人番号を特定し、同姓同名の人がいる場合には「住所」も確認して区別することにしていますが、この対応が徹底できていなかったということです。

こうした事態を受けて厚生労働省は全国の自治体に対して、障害者手帳の情報をマイナンバーにひも付ける作業の状況などについて7月20日までに確認し、同じようなケースがないか点検を行い、9月末までに報告するよう通知しました。

松野官房長官「すべての事案を重く受け止める」

松野官房長官は20日午後の記者会見で、「国民の皆さまにご心配をかけていることを申し訳なく思う。政府としてはすべての事案を重く受け止め、データやシステムの総点検、新たな事案が生じないようにするための仕組み作り、それに国民の不安払拭のための丁寧な対応という、3つの基本方針のもと取り組んでいく」と述べました。

加藤厚労相 「自治体ですべての情報を洗い出し確認」

加藤厚生労働大臣は記者会見で「障害者手帳とのひも付けにあたって、どう具体的に注意すればいいのか、確認すればいいのかが必ずしも徹底されていなかった。適切な対応をしていない自治体については、すべての情報を洗い出して確認してもらう」と述べました。

健康保険証の誤登録 医療機関に対応周知へ

一方、マイナンバーカードと一体化した健康保険証で患者が一時全額を負担させられるケースが一部にある問題で、加藤厚生労働大臣は「迷惑をおかけしている」と述べ、医療機関に対し生年月日などで本人確認を行い、3割などの自己負担分に請求をとどめるよう求めました。

マイナンバーカードと一体化した健康保険証をめぐっては、他人の情報が登録されていたケースが7300件余り確認されているほか、医療機関で登録情報を読み取れず、患者が窓口で一時全額を負担させられるケースも報告されています。

加藤厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「情報を確認できない場合の医療費の取り扱いが、明確になっていないことから医療現場で混乱が生じ、ご迷惑をおかけしている」と述べました。

そのうえで、保険料を支払っている人が必要な保険診療を受けられるよう医療機関に対し、マイナンバーカードに記載されている生年月日などで本人確認を行い、3割などの自己負担分に請求をとどめるよう求めました。

厚生労働省は、今月中に、医療機関向けに対応マニュアルを周知したいとしています。加藤大臣は「国民全員に利用してもらうことを見据え、課題を洗い出し、マイナンバーカードと保険証の一体化を円滑に進めていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「政府が一元的に対応できていない」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「わざわざ窓口に取りに行くようにして、顔で本人確認までしていたのにその漏れが出ていることは極めて遺憾だ。ほかにもいろんな事案が出てきているが、残念ながら政府が一元的に対応できていない。総理大臣官邸が先頭に立ち、原因や再発防止、それにどれくらいの国民に影響が出ているのかを一元的に説明していくことが重要ではないか」と述べました。

公明 山口代表「早く解決の展望を示すべき」

公明党の山口代表は記者会見で「政府が自治体や関係機関の協力を得ながら、再発防止策を確立することが重要であり、特別に厳しい姿勢で臨んでもらうよう要請する」と述べました。

そのうえで「高齢者や重い疾患を抱えた人、その家族などに、マイナンバーカードの取得に不安を感じている人もいる。早く解決の展望を示すべきで、政府は世論の反応が厳しい状況にあることを深く受け止めるべきだ」と述べました。

立民 岡田幹事長「保険証廃止は立ち止まるべき」

立憲民主党の岡田幹事長は、記者会見で「いろいろな事例が出てきて国民の不安が募っている。健康保険証をなぜ廃止しないといけないのかを国民にしっかり説明してもらう必要があるし、来年秋の廃止は立ち止まるべきだ」と述べました。

また、安住国会対策委員長は、党の会合で「次々とマイナンバーカードをめぐる問題があり、自民党に対しては、岸田総理大臣出席の閉会中審査を強く求めていきたい。『紙の健康保険証を残せ』という国民の偽らざる気持ちに背を向けて、岸田総理大臣は廃止に突っ走っている。健康保険証を守る夏にしたい」と述べました。

維新 藤田幹事長「行政の執行能力の低さを露呈」

日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で、「行政の執行能力の低さを露呈している。原因を追究し改善していかないと、国民の信頼を得て制度が成り立っていくというステップを踏むことができない。マイナンバーにひも付けて社会インフラを構築するという構想や方向性には賛同しており、完璧に作り上げたい」と述べました。

共産 小池書記局長「全面的な総点検を行うべき」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「トラブルが続出し、マイナンバーカードに対する信頼はほとんど地に落ちた。いったん運用を停止し、全面的な総点検を行うべきだ。岸田政権に『聞く力』が少しでも残っているのであれば紙の健康保険証の廃止を撤回すべきで、国民の不安を解消するためにも国会での閉会中審査を強く求めていきたい」と述べました。

国民 玉木代表「全体のロードマップ示すことが重要」

国民民主党の玉木代表は記者会見で「マイナンバー制度に対する信頼が揺らいでは元も子もなく、不安を感じている人がたくさんいるので、どういう手順でいつまでに点検するのか全体のロードマップを示すことが重要だ。行政のデジタル化は進めていく必要があり、見直しをどれだけ迅速にできるかがポイントだ」と述べました。