大谷翔平【解説】打撃好調の要因は?全ホームランをチェック

大リーグ、エンジェルスの大谷選手が止まりません。18日に24号ツーランを打つなど、ここ7試合で実に6本のホームランを量産し、両リーグ通じて単独トップに立っています。好調の要因はどこにあるのでしょうか?

記事後半では、今シーズンの大谷選手のすべてのホームランを球種などから詳しく分析しています。

6月 バッティング好調

バッティング好調が続く大谷選手。

6月12日から18日までの1週間に行われた7試合の成績をまとめると、23打数10安打で打率は4割3分5厘。ホームラン6本、12打点と圧倒的な成績を残しています。

大リーグ通算150号の今季23号ホームラン

ホームランに着目すると、17日には節目にも到達しました。

大リーグ通算150号ホームランを打って、ヤンキースなどでプレーした松井秀喜さんを上回り、日本選手最速となりました。

松井秀喜さん 大リーグ150号(2010年6月)

松井さんも「大谷選手が何をしても誰も驚かなくなった。もう当たり前になっていることが彼の存在だと思う」とたたえました。

大谷選手の今シーズンのホームランを月ごとに見ると、6月に入ってペースを上げていることがわかります。

18日を終えた時点で、すでに4月と5月の本数をいずれも上回っています。

▽4月…7本
▽5月…8本
▽6月…9本(18日現在)

自身の好調について大谷選手は、次のように話しています。

(大谷翔平選手)
「見え方がいいのでやっぱり、構えの段階で。結果うんぬんではなくて。もちろん結果もいいですけど。なるべくしてなっている感じがいいんじゃないかなと思います」

専門家“高めの速球を攻略”

専門家は大谷選手の好調の要因をどうひもとくのでしょうか。

NHKプロ野球解説 小早川毅彦さん

「高めのストレートを力強くはじき返せるようになった」とNHKプロ野球解説の小早川毅彦さんは指摘します。

その兆しがあったのが、5月30日の13号ホームランだったといいます。

151.6キロの高めのストレートをたたいての、飛距離132.6メートル、打球速度177.3キロの強烈な一打でした。

13号ホームラン(5月30日)

(NHKプロ野球解説 小早川毅彦さん)
「春先は高めのストレートに苦戦していて、バットに当たってファールになるか、打ちにいっても空振り。うまくとらえられなかった。13号で見事にとらえて、すばらしい飛距離と打球だったものですから、これで待ちに待ったホームランが出た。これでいよいよ本当にペースが上がってくると感じさせる一打でした」

12号までと比較してもらうと・・・。

3年連続の20号ホームラン(6月12日)

(小早川毅彦さん)
「それまでは低めにくる変化球をとらえてのホームランが多かった。野球のバッティングだが、どちらかというとゴルフスイングのようなかたちで下からすくい上げるような感じで、どちらかというとバットにボールを乗せて運ぶような形が多かった。13号以降は速いボールをバチーンと叩き潰すようなHRが出始めた」

【大谷翔平 今季ホームラン コースは?球種は?】

<4月>
▽ 2日:1号 低め・スライダー
▽ 3日:2号 低め・チェンジアップ
▽ 9日:3号 スライダー
▽18日:4号 低め・スライダー
▽23日:5号 低め・カーブ
▽26日:6号 低め・シンカー
▽30日:7号 カットボール

<5月>
▽10日:8号 低め・カーブ
▽15日:9号 カーブ
▽18日:10号 高め・チェンジアップ
▽20日:11号 高め・ストレート
▽24日:12号 高め・カットボール
▽30日:13号 高め・ストレート
▽31日:14号 ストレート
▽31日:15号:高め・ストレート

<6月>
▽ 6日:16号 高め・カットボール
▽ 9日:17号 チェンジアップ
▽10日:18号 低め・スライダー
▽12日:19号 低め・シンカー
▽12日:20号 高め・カットボール
▽14日:21号 ストレート
▽15日:22号 高め・スライダー
▽17日:23号 高め・チェンジアップ
▽18日:24号 低め・カーブ

(大リーグ公式サイトより)

21号ホームラン(6月14日)

その上で小早川さんは、大谷選手のバッティングが、去年に比べて、さらに進化していると指摘します。

(小早川毅彦さん)
「去年に比べ体の軸が一段と大きくなったあと、それによって体をまわしますよね。体をまわしてバットを出すじゃないですか。体幹が強くなったので軸がしっかりしている。軸がぶれなくなるのでミスショットが少なくなるとつながっていってると思う」

週間MVPにも期待

6月12日から18日までの1週間で好成績を収めたことから、週間MVPを受賞できるかどうかも注目されています。

大谷選手はこれまで2018年と、おととしに2回ずつ、合わせて4回受賞していますが、過去に受賞した時と比べてもホームランと打点は最も多くなっています。

今回、受賞すれば通算5回目となり、イチローさんが持つ日本選手の最多記録に並びます。

今後の活躍 さらに期待

さらに大谷選手はオールスターゲームのファン投票の中間結果でも、指名打者部門で92万票余りを集めてアメリカンリーグの全体トップに立ちました。

このままアメリカンリーグ全体でトップの得票となれば、最終投票を待たずに3年連続3回目のオールスターゲームの先発出場が決まります。

さらにその先、小早川さんは今シーズンのタイトル獲得にも十分、期待できるとしています。

NHKプロ野球解説 小早川毅彦さん

(小早川毅彦さん)
「去年、日本のプロ野球で(ヤクルトの)村上選手が56本打ちましたよね、その上をいって、プラス1本で57本、ホームランも57本でタイトルをとり、打率・打点もタイトルをとって“三冠王”、ことし十分チャンスがあるんじゃないのかなと。狙える位置にいるんじゃないかなと思います」