北朝鮮から2発の弾道ミサイル EEZ内に落下か【詳報】

防衛省は、北朝鮮から今夜少なくとも2発の弾道ミサイルが発射され、日本のEEZ=排他的経済水域の内側の日本海に落下したとみられると発表しました。

防衛省によりますと、15日午後7時24分ごろと7時36分ごろ、北朝鮮の西岸付近から少なくとも合わせて2発の弾道ミサイルが東の方向に発射されました。

ミサイルは
▽飛行距離がおよそ850キロと900キロ
▽最高高度がいずれもおよそ50キロ
で、いずれもおよそ11分飛行し、石川県輪島市の舳倉島の北北西およそ250キロの、日本のEEZ内の日本海に落下したとみられるということです。

ミサイルは変則的な軌道で飛行した可能性があるということです。

これまでのところ、船舶や航空機への被害の情報は入っていないということです。

北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したとみられるのは、2月18日以来です。

北朝鮮は先月31日に軍事偵察衛星の打ち上げに失敗したとして速やかに2回目の打ち上げを行うと発表していて、防衛省が今回の発射の目的を分析するとともに、警戒と監視を続けています。

松野官房長官「衛星と称するものとは違う」

松野官房長官は臨時の記者会見で「北朝鮮はきょう午後7時台、北朝鮮西岸付近から少なくとも2発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があるが、引き続き分析中だ」と述べました。

その上で「1発目は午後7時24分ごろ発射、およそ11分間飛翔し、石川県舳倉島の北北西およそ250キロメートルのわが国のEEZ=排他的経済水域内に落下したと推定される。飛翔距離はおよそ850キロメートル、最高高度はおよそ50キロメートル程度とみられる。2発目は午後7時36分ごろ発射し、およそ11分間飛翔し、石川県舳倉島の北北西およそ260キロのわが国のEEZ内に落下したものと推定される」と説明しました。

また「政府としては、付近を航行する航空機や船、それに関係機関に情報提供を行い、現時点において被害報告などの情報は確認されていない」と述べました。

北朝鮮が可及的速やかに行うとしている2回目の「人工衛星」の打ち上げとの関連を質問されたのに対し、松野官房長官は「詳細は分析中だが、いわゆる『衛星』と称するものとは違うと考えている」と述べました。

また、松野官房長官は「破壊措置は実施していない」とした上で、「北朝鮮は一貫して核・ミサイル能力を強化する姿勢を示しており、今後も各種ミサイルの発射や核実験の実施など、さらなる挑発行為に出てくる可能性がある」「アメリカや韓国などとも緊密に連携しながら、必要な情報の収集や分析、警戒監視に全力をあげていく」と述べました。

20:45ごろ 岸田首相「北朝鮮に対し厳重に抗議した」

岸田総理大臣は午後8時45分ごろ総理大臣官邸を出る際、「北朝鮮が複数の弾道ミサイルを発射し、わが国のEEZ内に着弾したとみられる。現時点で被害の報告はない。この事態をうけて、国民への情報提供、安全確認の徹底などの指示を出し、ただちにNSCの4大臣会合を開催した」と述べました。

その上で「今回の発射行動は関連する安保理決議に違反し、国際社会全体への挑発をエスカレートする暴挙であり、北朝鮮に対し厳重に抗議した。引き続き情報収集と警戒監視に全力をあげるとともに、日米、日米韓で連携して対応していく」と述べました。

日米韓高官が電話で対応協議

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン朝鮮半島平和交渉本部長と電話で対応を協議しました。

この中で3氏は、北朝鮮が複数の弾道ミサイルを日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下させたことを強く非難しました。そして、前例のない頻度と方法で発射を繰り返していることは、地域の安全保障にとって差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を共有しました。

その上で、地域の抑止力、対処力の強化や、国連安全保障理事会での対応などについて引き続き日米韓3か国で緊密に連携することを改めて確認しました。

21:00 新潟県が情報連絡室会議

新潟県は午後9時から、危機対策課長を長とする情報連絡室会議を開きました。県によりますと、県内の漁船に関する被害の情報は入っておらず、県立高校の実習船も出航していなかったということです。

県は引き続き情報収集を続けることにしています。

20:40ごろ 小野田防衛政務官 “少なくとも2発 変則軌道”

小野田防衛政務官は記者団に対し、北朝鮮が今夜7時台に、北朝鮮西岸付近から少なくとも2発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射し、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられると明らかにしました。

この弾道ミサイルは、変則軌道で飛行した可能性があるということです。このうち1発は今夜7時24分ごろに発射し、およそ11分間飛行し、今夜7時35分ごろ、石川県の舳倉島の北北西およそ250キロの日本海のEEZ内に落下したものと推定されるということです。飛行距離はおよそ850キロ、最高高度はおよそ50キロ程度と推定されています。

もう1発は今夜7時36分ごろに発射し、およそ11分間飛行し、今夜7時47分ごろ、石川県の舳倉島の北北西およそ250キロの日本海のEEZ内に落下したと推定されています。飛行距離はおよそ900キロ、最高高度はおよそ50キロ程度と推定されています。

一方、これまでのところ、航空機や船舶などの被害の情報は確認されていないとしています。

韓国軍と米軍 ミサイルの種類の分析進める

韓国軍は、北朝鮮が今夜、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表しました。これを前に北朝鮮の国防省は15日行われた米韓両軍の大規模な射撃訓練を非難する談話を出していて、発射を通じて対決姿勢を示した形です。

韓国軍の合同参謀本部は、15日午後7時25分ごろから37分ごろにかけて、北朝鮮が首都ピョンヤン近郊のスナン付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表しました。

いずれも飛行距離はおよそ780キロで、高度は明らかにされておらず、韓国軍はアメリカ軍とともにミサイルの種類などの分析を進めています。

韓国では15日、アメリカ軍と韓国軍が朝鮮半島有事を想定して大規模な射撃訓練を行い、ユン・ソンニョル大統領が訓練を視察し、北朝鮮の脅威に厳しく臨む姿勢を示していました。

一方、北朝鮮国防省は発射の30分ほど前の午後7時前に、米韓両軍の訓練に反発する報道官の談話を出し、「地域の軍事的緊張をさらに高める挑発的で無責任な行動を強力に糾弾する」と非難しました。

その上で「わが武力は、敵のいかなる形の挑発にも徹底して対応する」として、軍事行動も示唆していて、今回の発射を通じて米韓両国への対決姿勢を示した形です。

20:30ごろ 政府 NSCの閣僚会合を開く

政府は北朝鮮による今回の発射を受けて、午後8時半ごろからおよそ10分間、総理大臣官邸で岸田総理大臣をはじめ、林外務大臣、浜田防衛大臣ら関係閣僚が出席して、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開きました。

安全の確認をはじめ、これまでの情報を分析するとともに、今後の対応などを協議しているものとみられます。

19:50「すでに落下とみられる」海保

海上保安庁は防衛省からの情報として「弾道ミサイルの可能性があるものは、すでに落下したとみられる」と午後7時50分に発表しました。

日本に関係する船舶への被害情報なし 海保

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受け、海上保安庁が日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

EEZ内の落下は2月18日以来

北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられるのは、2月18日以来です。

防衛省は、このときのミサイルについて、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、およそ66分飛行して北海道渡島大島の西およそ200キロの日本のEEZの内側に落下したと推定しています。

20:00ごろ 磯崎官房副長官 “NSC開催の可能性も”

磯崎官房副長官は午後8時ごろ、総理大臣官邸に入る際、記者団が「このあとNSC=国家安全保障会議の閣僚会合は開催されるか」と質問したのに対し「可能性はあると思う」と述べました。

20:00ごろ 浜田防衛相 首相官邸に

浜田防衛大臣は午後8時ごろ、総理大臣官邸に入りました。

岸田総理大臣らとともに、今後の対応を協議するものとみられます。

19:28 岸田首相 “不測の事態に備え万全の態勢を”

北朝鮮による発射を受けて、岸田総理大臣は、午後7時28分、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え万全の態勢をとることを指示しました。

19:28 海保「弾道ミサイルの可能性があるものが発射」

海上保安庁は防衛省からの情報として「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」と午後7時28分に発表しました。

航行中の船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけています。

19:30ごろ 韓国軍 合同参謀本部も発表

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したと、15日午後7時半ごろに発表しました。

19:00前 北朝鮮 米韓両軍の射撃訓練に反発する談話を発表

北朝鮮国防省は弾道ミサイルの可能性があるものが発射された30分ほど前の、15日午後7時前、国営の朝鮮中央通信を通じて、米韓両軍による射撃訓練に反発する談話を発表していました。

談話では「地域の軍事的緊張をさらに高める挑発的で無責任な行動を強力に糾弾する」と非難したうえで「わが武力は、敵のいかなる形の挑発にも徹底して対応する」として、軍事行動も示唆し、米韓両国への対決姿勢を強調しています。

政府 緊急参集チームのメンバーが首相官邸に

政府は、総理大臣官邸に設置している北朝鮮情勢に関する官邸対策室で情報を集約するとともに、緊急参集チームのメンバーを総理大臣官邸に集め、今後の対応を協議することにしています。

岸田首相「今から報告受けて対応をしっかり精査」

岸田総理大臣は午後7時半ごろ、会食のために訪れていた東京 港区の飲食店をあとにする際、記者団に「今から報告を受けて対応をしっかり精査する」と述べました。

ことし11回目

北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものや、弾道ミサイル技術を用いたものを発射したのは5月31日以来で、ことし11回目となります。