【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ダム決壊で赤十字国際委総裁 “飲料水確保が最優先”

ウクライナで人道支援にあたるICRC=赤十字国際委員会のスポリアリッチ総裁が15日、都内でNHKの単独インタビューに応じ、ダムが決壊した南部について「水を浄化する設備を届けることに注力している」と述べ、現地では安全な飲料水の確保が最優先事項だという考えを示しました。

ウクライナでは、南部ヘルソン州のカホウカ水力発電所のダムが今月6日に決壊して大規模な洪水が発生し、被害が拡大しています。

スポリアリッチ総裁は、現地の状況について「最大の懸念は地域のひどい壊滅状況だ。復旧には何年もかかり、人々は生活基盤を失って長い間戻ってこられなくなる」と述べました。

一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領が7日の動画で、ICRCのような国際機関がすぐに救助活動に参加することが必要だと訴えたことに対し、「ICRCは初日から現地に滞在して人々を支援し、ダムを含むインフラの破壊による影響についても現地当局と連絡を取り合っている」と述べ、必要な支援を継続的に行っていると強調しました。

ダム決壊巡り「ロシア兵が支援活動阻む」ウクライナ国防省

ウクライナ国防省のマリャル次官は、南部ヘルソン州のダムが決壊して発生した大規模な洪水をめぐり、ロシアの支配地域でロシア兵が、避難する住民のウクライナのパスポートや出生証明書などを没収し、ボランティアの支援活動も阻んでいるとして強く非難しました。

ウクライナ反転攻勢 双方が相手の被害主張する情報戦に

反転攻勢を進めるウクライナは、東部ドネツク州や南部ザポリージャ州で着実に前進していると成果を強調しています。

これに対してロシア国防省は14日、ウクライナ軍を撃退し、今月4日以降、前線でのウクライナ側の死傷者は7500人に上っていると主張しました。

ロシアのプーチン大統領は13日、ウクライナの反転攻勢について「敵は成功せず多大な死傷者を出している」と述べ、人的被害はロシア側のおよそ10倍に上ると主張しました。

一方、ウクライナ国防省のマリャル次官は14日、ロシア側がウクライナ軍の戦意喪失をねらってねつ造した情報だとSNSで反論しました。その上で、ロシア側の死傷者は
▼東部ドネツク州のバフムト方面でウクライナ側のおよそ9倍
▼南部ザポリージャ州の前線でおよそ5倍に上っていると主張し、双方が相手の被害の大きさを主張する情報戦になっています。

ウクライナ 前線で戦うアゾフ旅団の兵士「大きな転換点だ」

ウクライナの前線で戦っている「アゾフ旅団」の下士官の1人で兵士の訓練などを行っているアナトリー・イエホロフさん(31)は、ウクライナ軍による大規模な反転攻勢が始まったことについて「われわれはこのために準備してきたし、この戦いが大きな転換点になると考えている。ウクライナにとってこの100年で最も重要な戦いだ」と述べ、兵士の士気は高いと強調しました。
また、旅団がいる前線の戦況について具体的な場所は明らかにしなかったものの「いまはまだ主に偵察部隊による前哨戦という段階だが、これからより大きな戦いが始まることになる」との見方を示しました。そのうえで「攻撃側は防御側の3倍の戦力が必要になる」と述べ、欧米諸国などに対し、より多くの戦車や装甲車を供与してほしいと訴えました。

イエホロフさんは去年5月にマリウポリが陥落した際にロシア軍の捕虜となり4か月後に捕虜交換で解放されましたが、ロシアに捕らえられている仲間はいまもおよそ600人いるということで「1年以上も厳しい状況に置かれている仲間がいる。すべてのウクライナ人の自由のためにわれわれは戦い続ける」と話していました。
「アゾフ旅団」はロシアによる軍事侵攻当初、東部の要衝マリウポリなどの防衛に関わった準軍事組織「アゾフ大隊」が元になっていて、兵力は7000人規模で、内務省傘下の部隊として前線で戦っています。

ドイツ 初の安保戦略を公表 “ロシアは最大の脅威”

ドイツのショルツ首相らは14日に記者会見し、初めての国家安全保障戦略を公表しました。

戦略ではエネルギーの輸入などを通じて長年、協力関係を重視してきたロシアをヨーロッパの安全保障の最大の脅威と位置づけ、NATO=北大西洋条約機構の抑止力の強化に貢献するために今後数年間、GDP=国内総生産に占める国防費の支出の割合を平均で2%に引き上げると明記しました。

また、メルケル前政権のもとで経済関係の強化を進めてきた中国について「われわれの利益や価値観と矛盾する行動を続け、経済力を利用して政治的な目標を成し遂げようとしている」と警戒感を示しました。

そして、ロシアへのエネルギー依存を教訓とし、中国を念頭に、希少な資源などを他国に過度に依存するリスクを減らすため、供給網の多様化などに取り組む方針を示しました。ただ、気候変動など世界的な課題への対応では中国はパートナーだとしています。
ショルツ首相は「中国は経済成長を続けていくだろうが、われわれは安全保障の問題にも注意を払わなければならない」と述べ、安全保障も踏まえ中国政策を検討していく考えを示しました。

イギリス国防省 “ロシア軍の戦闘機の出撃回数増加”

イギリス国防省は14日、過去2週間、ロシア軍の戦闘機の出撃回数がウクライナ南部で増えているとしたうえで、反転攻勢を撃退するために空爆で地上部隊を支援するのが目的だと指摘し、戦闘が激しくなっているものとみられます。

ロシア国防省「ウクライナ兵1000人以上を殺害」

ロシア国防省は14日、ウクライナ東部ドネツク州や南部ザポリージャ州などでウクライナ軍を撃退し、兵士1000人以上を殺害したと主張しました。

ウクライナ国防省次官「東・南部で部分的な成功」

ウクライナ国防省のマリャル次官は14日SNSで、軍の部隊がウクライナ東部ドネツク州のバフムト方面で200メートルから500メートル、南部ザポリージャ州方面で300メートルから500メートル前進したとして「部分的な成功を収めている」と強調しました。

プーチン大統領 “反転攻勢は失敗している”

ロシアのプーチン大統領は13日に行われたロシア軍に従軍する記者を集めた会合で、ウクライナの反転攻勢は失敗していると主張したうえで「われわれは状況に応じて措置をとる。あらゆる計画を立てている」と述べ、ウクライナ軍を撃退し侵攻を継続していく姿勢を示しました。

また、ロシア国内で無人機による攻撃が相次いでいることについて「伝統的に防空システムはミサイルや大型の戦闘機を対象に設定されている。無人機を探知するのは非常に難しい」と述べ、防空システムが無人機に対応しきれていないと認めたうえで対策を強化する考えを示しました。