トランプ前大統領 機密文書巡り無罪主張「でっちあげの罪だ」

機密文書の取り扱いを巡って起訴されたアメリカのトランプ前大統領が、南部フロリダ州の裁判所で罪状認否に臨み、無罪を主張しました。トランプ氏は、その後行った演説で「邪悪な権力の乱用だ」と述べ、全面的に争う構えを強調しました。

トランプ前大統領は、核兵器や軍の能力に関する情報など、最高機密を含む文書を不正に自宅で保管していたとして6月8日に起訴されました。

国防に関する情報を故意に保持した、スパイ防止法違反の罪などに問われています。

13日、トランプ氏は、南部フロリダ州マイアミの連邦地方裁判所に出廷して罪状認否に臨みました。

複数のメディアによりますと、トランプ氏側は、罪に問われている37件すべてについて無罪を主張したということです。

その後、トランプ氏は東部ニュージャージー州に移動して演説し、「きょう、私たちは、この国の歴史上もっとも邪悪な権力の乱用を目の当たりにした」と述べました。

そのうえで、「でっちあげの罪だ」として、文書を保管していたことに違法性はないと主張し、「選挙への介入だ」と訴えて、全面的に争う構えを強調しました。

トランプ氏をめぐっては、
▽ことし3月にも、不倫の口止め料に関連して起訴されているほか、
▽2020年の大統領選挙の結果の確定手続きを妨害しようとした疑いなどでも、捜査が続いています。

来年秋の大統領選挙に向けた共和党の各候補の動きが活発化する中で、トランプ氏をとりまく司法の動きが選挙にどのような影響を与えるのかに関心が集まっています。

約500人のトランプ氏支持者が裁判所前で抗議

南部フロリダ州マイアミの連邦地方裁判所前には、トランプ前大統領が到着する前からおよそ500人のトランプ氏の支持者らが集まり、「魔女狩りだ」などと声をあげて起訴について不当だと抗議していました。

地元マイアミの警察当局は周辺に多くの警察車両とともに警察官を配置して厳戒態勢を敷き集まった人たちに平和的な抗議活動を呼びかけています。
裁判所の周辺は、警察が安全について「調査する」として一時、閉鎖されましたが、1時間ほどして解除され、今のところ大きな混乱は見られません。

トランプ氏の支持者の男性は「これは政治的意図による起訴で、民主党や司法が大統領選挙に介入しようとしている。起訴は取り下げられるべきだ」と話していました。

一方、トランプ氏に批判的な男性は「トランプ氏にはもうたくさんだと言いたい。彼はずいぶん前に収監されるべき人物だ」と話していました。

周辺には、多くのメディアが集まって中継を行うなどしていて、関心の高さを伺わせています。

共和党支持者の81%が「起訴は政治的な意図」

トランプ前大統領の起訴について、ロイター通信などが今月13日に発表した世論調査では、共和党支持者の81%が「政治的な意図がある」との見方を示しています。

これについてロイター通信は、トランプ氏の岩盤支持層と呼ばれる強固な支持者の割合を大きく上回る共和党支持者が起訴は不当だと考えていると指摘しています。

また、同じ世論調査では、回答した人全体の62%が「トランプ氏が違法に機密文書を自宅に保管していたと考えている」としています。

ただこれを支持政党別で見ますと、民主党支持者では91%だったのに対し、共和党支持者では35%にとどまっていて、政治的な分断が浮き彫りになっています。