ウクライナ 領土奪還へ反転攻勢開始も厳しい戦いに直面か

ウクライナのゼレンスキー大統領は領土の奪還を目指した反転攻勢が始まっていると初めて明らかにしました。ウクライナ側は一部で前進する一方で、厳しい戦いに直面しているという見方も出ていて、ロシア側との激しい攻防も予想されます。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、記者会見で、ウクライナ軍による反転攻勢の作戦がすでに始まっていると明らかにし、作戦の詳細については明言を避けながらも「前線の司令官らは、みな楽観的な雰囲気の中にある」と述べ、自信を示しました。

ウクライナ軍の東部方面部隊の報道官は10日、地元メディアに対して、東部のバフムトで、1日に1.4キロメートル前進したと主張しました。

また、親ロシア派の幹部はSNSで、南部ザポリージャ州ではウクライナ軍が欧米から供与された装備を使って夜間の攻撃を繰り返していると明らかにしました。
一方、ザポリージャ州の拠点の1つ、トクマクの戦況について、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10日、複数の地点からトクマクに向かったウクライナ軍の部隊がロシア軍の激しい攻撃を受けて前進を阻まれ、ドイツが供与した主力戦車「レオパルト2」も被弾したと現地の兵士の話をもとに伝えています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10日、「ウクライナ軍はロシアが準備してきた防御陣地に対する正面からの攻撃という非常に難しい戦術を試みている」として、ウクライナ軍は厳しい戦いに直面していると指摘しました。

一方で、「ウクライナは、まだ軍の大部分を投入しておらず、ロシアの防衛力がすべての前線で一様に強力なわけではない」という見方を示し、ロシア側との激しい攻防も予想されます。