国連 人道部門担当者「世界では22人に1人が人道支援が必要」

国連の人道部門のナンバー2を務めるムスヤ事務次長補がNHKの取材に応じ、世界では今、紛争や災害などの影響で22人に1人が人道支援を必要とする危機的な状況があるとして、国際社会にさらなる支援を呼びかけました。

今週、日本を訪れていたOCHA=国連人道問題調整事務所のムスヤ事務次長補は9日、NHKのインタビューに応じました。

ムスヤ事務次長補は、ウクライナをはじめ、ミャンマーやシリア、アフガニスタンなど、各地で紛争や災害が重なる複合的な人道危機が相次ぎ、世界で22人に1人が人道支援を必要としていて、その数は急増していると指摘しました。

このうち、軍と準軍事組織の衝突が続くスーダンについては、「国内外への避難民は180万人に上っているが、治安が悪化し、子どもや母親たちに物資が届けられない状況だ。国連機関の事務所も物資が盗まれたり、破壊されたりしている」と強い懸念を示しました。
また5月に、大型のサイクロンが上陸し、甚大な被害が出ているミャンマーでは、おととし2月にクーデターを起こして以来、実権をにぎる軍が支援を阻み続けていると非難しました。

そのうえで、国際社会は各地で人々が苦境におかれている現状を忘れることなく、国際機関や国内外のNGOなどが連携して、粘り強く支援を続けることが重要だと強調しました。
日本については、「自然災害に対処する知識や経験が豊富で、トルコやシリアで起きた地震からの復興に貢献している」と評価したうえで、G7の議長国として人道支援の面でも国際社会でリーダーシップを発揮するよう求めました。