ウクライナ ダム決壊 国連人道部門 事務次長補 強い危機感示す

ウクライナ南部でダムが決壊して大規模な洪水が発生するなか、国連の人道部門のナンバー2を務めるムスヤ事務次長補がNHKの取材に応じ、軍事侵攻に加え市民生活に深刻な影響が広がっているとして強い危機感を示し、支援に向けて国際社会に協力を呼びかけました。

ウクライナ南部ヘルソン州では今月6日にカホウカ水力発電所のダムが決壊して以降、大規模な洪水が発生していて、OCHAによりますと、州内では水位が5.6メートルに達している地域もあるということです。

日本を訪れていたOCHA=国連人道問題調整事務所のムスヤ事務次長補は9日、NHKのインタビューに応じ「軍事侵攻が始まって以降、ウクライナの人々は多くの苦難を強いられてきたが、ダムの破壊は新たに複合的な打撃を与えている」と強い懸念を示しました。

そして「ダムは70万人に飲料水を提供していたので、こうした人々に深刻な影響が及ぶことを懸念している。水が引かなければ公衆衛生上の問題も生じ、とりわけ感染症が拡大するおそれがある」として、危機感を示しました。

また現地で人道支援にあたっている国連機関やNGOの活動について「食料など供給できる物資があっても、必要な地域に届けることが難しくなっている」として、厳しい認識を示しました。

その上で、ムスヤ事務次長補は「誰に破壊の責任があるのかという情報はつかめないが、いま集中しなければならないのは、ウクライナの人々への支援だ。日本は現場の人道支援を支え続けてきた重要な援助国の1つだ」と述べ、日本をはじめ国際社会に協力を改めて呼びかけました。