「仕組み債」は、通常の債券にデリバティブ=金融派生商品を組み込んだ複雑な金融商品で、高い利回りをうたう一方で市場環境が大きく変わった場合に、元本割れなど想定以上の損失をかぶるリスクもあります。
金融庁によりますと銀行や証券会社による「仕組み債」の販売額は、2021年度でおよそ4兆1000億円に上ります。
このうち証券会社が2兆4400億円、大手銀行が1兆700億円、地方銀行が6400億円、それぞれ販売したということです。
金融庁が問題視しているのは仕組み債の販売にあたって、投資の経験が少ない顧客に十分な説明をしないまま販売する事例が相次いだことです。
仕組み債を販売する地方銀行は、去年3月末には全体の77%に上っていましたが、去年8月、金融庁が金融機関の経営陣に対して、仕組み債の販売を継続するかどうかをヒアリングする方針を打ち出したことで販売を取りやめる銀行が相次ぎ、去年11月末には全体の33%まで減少しました。
今回、勧告の対象となった「ちばぎん証券」も、去年8月に仕組み債の販売を取りやめています。
金融庁は、今の国会に「金融商品取引法」の改正案を提出していて、この中では顧客の投資経験などに応じて、商品の内容やリスクを説明することを義務化するなどとしています。

3社への行政処分勧告「仕組み債」めぐり 監視委員会
高い利回りをうたう一方でリスクを伴う「仕組み債」と呼ばれる金融商品をめぐり、証券取引等監視委員会は「千葉銀行」や子会社の証券会社、それに「武蔵野銀行」がリスクを十分に説明せずに顧客に販売したなどとして3社に対して行政処分を行うよう金融庁に勧告しました。
勧告の対象となったのは、「千葉銀行」と子会社の「ちばぎん証券」それに、さいたま市に本店を置く「武蔵野銀行」の3社です。
金融商品取引法では、顧客の知識や経験、それに財産の状況などに照らして不適当な勧誘や販売を行ってはならないという原則を定めていますが、証券取引等監視委員会によりますと「ちばぎん証券」は、投資の経験が少ない顧客に十分なリスクの説明をせずに仕組み債を販売していたということです。
また、顧客から多数の苦情が寄せられ、日本証券業協会からも合わせて3回注意喚起を受けていたということです。
千葉銀行と武蔵野銀行はそれぞれの顧客を、提携関係にあるちばぎん証券に紹介していましたが、その際、顧客の状況を確認しないまま高金利といった優位性を強調していたということで、監視委員会は法律が求めている投資家保護のために必要な対応をとっていなかったと判断しました。
監視委員会は9日、3社について金融庁に行政処分を行うよう勧告し、金融庁はこれを受けて処分を検討することにしています。
「仕組み債」をめぐる経緯
「信頼回復に努めたい」「勧告 重く受け止め深く反省」
今回の行政処分の勧告について、千葉銀行とちばぎん証券は「お客さまをはじめ、関係する皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げる。この度の勧告内容を厳粛に受け止め、引き続き再発防止に取り組み、信頼回復に努めたい」としています。
また、武蔵野銀行は、「今回の勧告を重く受け止め深く反省している。規律ある営業活動に向けて体制の整備や内部管理体制の強化に努めていく」としています。
また、武蔵野銀行は、「今回の勧告を重く受け止め深く反省している。規律ある営業活動に向けて体制の整備や内部管理体制の強化に努めていく」としています。