政府 ODAの「大綱」を閣議決定 途上国との関係強化へ

政府は、ODA=政府開発援助の指針を定めた「開発協力大綱」を9日の閣議で決定しました。途上国を対等なパートナーとして、食料やエネルギーなどのサプライチェーン=供給網の強化やデジタル化などの課題に協力して対処する方針です。

政府は、ODAの理念や指針を定めた「開発協力大綱」の8年ぶりとなる見直しを去年から進めていて、9日の閣議で決定しました。

この中で、国際社会は気候変動やロシアによるウクライナ侵攻など複合的な危機に直面していて、日本のODAが果たす役割はより重要になっているとしています。

そのうえで、途上国との対等なパートナーシップに基づき、食料やエネルギーなどのサプライチェーンの強化や、デジタル技術の活用といった課題に協力して対処するとしています。

また日本の強みである技術力を生かし、相手国の要請を待たずに提案するいわゆる「オファー型」の協力を強化するとしていて、より戦略的に途上国のニーズに応える方針です。

さらに、中国が途上国に対して、返済できないほどの貸し付けを行っていることを念頭に、相手国の債務の持続可能性に十分配慮するとした新たな原則も盛り込んでいます。

日本の今年度のODA予算は5700億円余りと、ピークの1997年度から半減していて、政府としてはより戦略的な支援で途上国との関係強化につなげたい考えです。

林外相「新たな大綱のもと 開発協力を効果的、戦略的に活用」

林外務大臣は記者会見で「国際社会が歴史的な転換期にあり、複合的危機に直面している中、開発協力が果たす役割はますます重要になっている。新たな大綱のもとで開発協力をいっそう効果的、戦略的に活用するとともに、さまざまな形でODA=政府開発援助を拡充し、外交的な取り組みの強化に努めていく」と述べました。