インフルエンザやRSウイルスなど 感染症患者が増加傾向 なぜ?

通常12月から3月にかけて流行する、インフルエンザ。

5月28日までの1週間の1医療機関あたりの患者数は「1.62人」で、5月下旬に流行の目安となる「1人」を超えるのは10年前以来となります。

「RSウイルス感染症」や、夏かぜの代表的な感染症の「ヘルパンギーナ」の患者数も増加しています。

なぜ今、増加傾向なのか。専門家に聞きました。

インフルエンザ 季節外れの流行

全国各地の学校で季節性インフルエンザの集団感染による休校や学級閉鎖が相次いでいます。

国立感染症研究所によりますと、5月28日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は7975人で、1医療機関あたりの患者数は1.62人でした。

インフルエンザは通常12月から3月にかけて流行しますが、5月下旬に1医療機関あたりの患者数が流行の目安となる「1人」を超えるのは2013年以来10年ぶりとなります。
この1週間で休校や学年・学級閉鎖をしたのは、
▽小学校が246、
▽中学校が40、
▽高校が25など、
全国で325か所となっています。

5月は大分市と宮崎市の高校でそれぞれ500人近い集団感染で休校したほか、6月に入ってからも福岡市の中学校と高校でも合わせて200人ほどが新型コロナやインフルエンザに感染するなどして休校となっています。

RSウイルスやヘルパンギーナも増加

また、子どもを中心に例年夏から秋にかけて流行する「RSウイルス感染症」や、乳幼児に多く見られる夏かぜの代表的なウイルス性の感染症の「ヘルパンギーナ」の患者数も増加しています。

5月28日までの1週間におよそ3000か所の小児科の医療機関から報告された1医療機関あたりの患者数は「RSウイルス感染症」で1.95人、「ヘルパンギーナ」で1.33人と、いずれも3週連続で増加しました。
新型コロナの5類移行前の1週間と比較すると、「RSウイルス感染症」は2倍に「ヘルパンギーナ」は5倍に増加しています。

厚生労働省は「社会経済活動が日常に戻る中で、季節的な要因もあり、一定の流行を起こす感染症が今後も出てくるとみられるのでさまざまな感染症の流行状況を注視していきたい」としています。

専門家 免疫低下が原因か

感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「いずれの感染症も新型コロナウイルスの流行が続いた過去3年間、国際的な往来の急減や厳しい感染対策の実施などを背景に、あまり大きな流行が起きておらず免疫がかなり落ちていることが原因にあるのではないか。そこにコロナの5類への移行でマスクなどの対策も緩和され広がりやすくなっていると考えられる」と指摘しました。
今後の対策については「誰もが常にマスクを着けるなど以前の生活に戻るというのは現実的ではないが、例えば学校のクラスや家庭など身の回りで感染症がはやり始めたときに対策をすることは有効だ。コロナとインフルエンザに限らず、呼吸器感染症ではせきや熱などの症状があれば、安静にして周りにうつさないよう配慮し症状がつらければ病院を受診することが大切だ。それが症状の回復や感染を広げないことにもつながると思う」と話しています。