米政府高官「冷戦時代の対話の仕組み 中国と築けていない」

アメリカ政府の高官は、米中関係をめぐって、「中国との新たな冷戦は避けたい」としたうえで、冷戦時代に旧ソビエトと設けていたような意図しない軍事衝突などを防ぐための対話の仕組みが、現時点で中国とは築けていないと懸念を示しました。

アメリカ、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のキャンベル・インド太平洋調整官は7日、首都ワシントンで開かれたシンクタンクのイベントに出席し米中関係のあり方などについて発言しました。

この中で、キャンベル調整官は「中国との新たな冷戦は避けたい」としたうえで「米中の対話がどのような方向に進むのかは不透明だ」と述べました。

そのうえで中国軍の戦闘機や艦艇が南シナ海などで相次いでアメリカ軍の偵察機や駆逐艦に接近し、アメリカ側が「危険な行為だ」などと批判していることを受けて「意図しない出来事に対処できる対話の仕組みが必要だ」と指摘しました。

そのうえで冷戦時代の旧ソビエトとの関係を念頭に「当時はそうした戦略的安定性につながる仕組みを設けることができていたが、現時点で中国とは築けていない」と述べ、懸念を示しました。

米中をめぐっては、シンガポールで開かれていた「アジア安全保障会議」で、米中の国防相どうしの会談が実現しないなど、とりわけ軍事面での対話のチャンネルの構築が課題となっています。