同性婚訴訟 福岡地裁できょう判決 集団訴訟の1審判決出そろう

同性どうしの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして同性のカップルが全国5か所で国を訴えている集団訴訟で8日、福岡地方裁判所の判決が言い渡されます。これまで各地の判決は憲法違反や違憲状態などの判断を示していて、8日の判決もこれに続くのか注目されます。

同性どうしの結婚を認めていない民法などの規定について、同性のカップルが2019年に婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張して国に賠償を求める集団訴訟を全国5か所の裁判所に起こしました。

このうち福岡県と熊本県に住む3組のカップルの裁判で福岡地方裁判所が8日午前11時に判決を言い渡すことになっていて、この年に提訴された裁判は1審の判決が出そろいます。

裁判で国が「同性どうしの結婚は憲法で想定されていない」と主張しているのに対し、これまでの各地の判決は札幌地裁と名古屋地裁が明確に「憲法違反」と判断したほか、東京地裁も同性のパートナーと家族になるための法制度が存在しないことについて「違憲状態」と指摘しました。

また「合憲」と判断した大阪地裁も社会状況の変化によっては今後、憲法違反になりうると言及しました。

原告側はいずれの判決も国に新たな立法措置をうながす追い風になると評価しています。

こうした中で福岡地裁がどのような判断を示すのか注目されます。

原告のまさひろさんら 裁判以外でも草の根活動

裁判の原告の3組のカップルのうち福岡市のまさひろさん(35)とこうすけさん(33)は、2017年、知人の紹介をきっかけに交際を始め、現在、市内の住宅で一緒に暮らしています。

ただ、法律上の婚姻関係がないため、住宅を購入する際のローンは共同名義にできなかったほか、扶養の関係にもなれないなど、男女のカップルと比べて、さまざまな制約を感じながら日々を過ごしているといいます。

まさひろさんは、同性婚が認められていないことについて「まるで私たちが、社会に存在しないように扱われていると感じています。私たちが今感じている幸せは、どちらかに病気や事故など何かがあった場合、法律上の救済ができず、すぐに壊れてしまうものだと不安を感じています」と話していました。

同性カップルの現状や当事者の思いを広く知ってほしいと、2人は、裁判以外でも草の根の活動を続けています。

ことし4月、2人は福岡市で、同性婚をめぐる問題に関心がある人たちと意見交換するイベントに参加しました。

イベントでは参加者全員で国会議員に手紙を書いて、同性婚の法制化を訴えることにしました。

およそ2週間後、2人は弁護士や支援者とともに東京 永田町の議員会館を訪れ、およそ15の議員事務所を訪問しました。

いずれの事務所も、議員と直接会うことはできませんでしたが、秘書に手紙を渡したうえで、将来への不安や同性婚の法制化について伝えることができました。

中には「意見交換は受け付けていない」などと訪問を拒まれたケースもありました。

東京での活動のあとまさひろさんは「同性婚の法制化に賛成していない議員に意見を届けることは大きな労力が必要ですが、諦めずに続けていくことが大切だと思いました」と話していました。

こうすけさんは「私たちもちゃんとこの社会で生きているので、私たちの声もしっかり聞いて、政策に取り組んでほしいと思いました。誰も取りこぼされないような、置き去りにされないような社会が実現してほしい」と話していました。