【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ダム決壊で地雷流出の可能性 非難や懸念の声も

ダムの決壊によってこの地域に設置されていた地雷などが下流に流された可能性があり、ウクライナ当局や国際機関から非難や懸念の声が上がっています。

ウクライナのマリャル国防次官は6日、SNSで「ロシアが設置した地雷が流された。予測できない爆発につながるだろう」と書き込みロシア側を強く非難しました。

また、ウクライナの非常事態庁は、6日に続き8日にもSNSを更新し、地雷などには近づいたり触ったりしないよう求めた上で「地雷の危険性を必ず子どもたちに伝えてください。子どもたちの命を救うことになります」と呼びかけています。

さらに、国際機関からも懸念の声が上がっています。

フランスのAFP通信は、ICRC=赤十字国際委員会の担当者が7日、これまで把握していた地雷の位置がダムの決壊で分からなくなったと指摘したと伝えています。

担当者は「今となっては地雷が下流のどこかにあるということしか分からない」と述べ、住民だけでなく、現地で救助活動にあたっている人たちにも危険が及ぶ可能性があると懸念を示したということです。

ダム決壊の被害拡大 1万4000棟以上の住宅浸水

ウクライナ南部で水力発電所のダムが決壊し大規模な洪水が発生したことについて、ヘルソン州でロシア側が支配する地域の当局者は8日、国営のタス通信に対し、15の集落で1万4000棟以上の住宅が浸水し、墓地や病院、幼稚園などが水没したとしています。

そして、170人以上の子どもを含む4280人が避難しているとしています。

また、ダムに隣接しロシア側が占拠しているノバ・カホウカ市の市長は、行方不明になっていた7人のうち、5人が死亡したと明らかにしました。

IAEA事務局長が声明 ザポリージャ原子力発電所を来週視察へ

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は7日、声明を発表し、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所を来週視察し、水力発電所のダムが決壊したことによる影響など状況を確認することを明らかにしました。

また、原発に常駐するIAEAの職員の数を増やし、安全を確保するための活動を強化するということです。

声明によりますと、ダムの決壊後、ザポリージャ原発に冷却水を供給する貯水池の水位が下がっていて、2日以内に水をくみ上げられなくなることも予想されるということです。

このため貯水池から水がなくならないうちに原発の隣にある別の池などに冷却水を移す作業が急ピッチで進められているということです。

声明では、この池などに十分貯水されていれば数か月間は冷却水の供給は可能だとしています。

原発の周辺ではこれまでも砲撃などが起きていることからグロッシ事務局長は「こうした水源を維持することが不可欠だ」として破壊しないよう訴えました。

ゼレンスキー大統領 ダム決壊で洪水被害のヘルソン州訪問

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、SNSでカホウカ水力発電所のダムが決壊して大規模な洪水が発生した南部ヘルソン州を訪問したと発表しました。

ゼレンスキー大統領は、現地で当局の責任者などと会議を開き、洪水による被害状況や住民の避難や生活の支援、さらに今後の軍事作戦などについても意見を交わしたということです。

ダム決壊 “影響受ける市民 4万人近くにまで増える可能性”

ウクライナ南部で水力発電所のダムが決壊し、大規模な洪水が発生したことによる被害の状況が少しずつ明らかになっています。

OCHA=国連人道問題調整事務所はウクライナ政府の情報として、およそ80の町や村で浸水の被害が報告され、影響を受ける市民は4万人近くにまで増える可能性があるとしています。

また、ヘルソン州の知事は8日SNSで「ヘルソン州では600平方キロメートルが水につかった」と明らかにし、浸水は、東京23区に匹敵する広さにまで拡大しているとみられます。

ストリレツ環境保護相も7日SNSで「少なくとも150トンの石油が、破壊された水力発電所から流出した」としてロシア軍を非難しています。

NATO事務総長「8日に緊急会合を開く」

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は7日、ツイッターへの投稿で、ウクライナ南部でダムが決壊し、大規模な洪水が発生したことをめぐり、8日に緊急会合を開くことを明らかにしました。

また、ウクライナのクレバ外相も7日、ストルテンベルグ事務総長と電話会談したことを明らかにし「ストルテンベルグ氏はNATOの枠組みで人道支援を行うことを約束した」としています。

ダム決壊 浸水 2600棟 ウクライナ検察庁「戦争犯罪だ」

ウクライナ南部ヘルソン州にあるカホウカ水力発電所のダムが決壊して大規模な洪水が発生し、ウクライナの非常事態庁は、日本時間の7日夜の時点で、把握できるドニプロ川の西岸地域だけで、あわせておよそ2600棟が浸水したと発表しました。
また、ウクライナの検察当局は、被災地に4万人以上が暮らしているとした上で「ダムの破壊は戦争犯罪だ」としてロシアの責任を追及する姿勢を示しました。

ダムの決壊をめぐってウクライナ側は、ロシア軍によって内部から爆破されたとしているのに対して、ロシア側はウクライナ軍の妨害行為によるものだと主張し非難の応酬が続いています。

ダム決壊 トルコ エルドアン大統領が調査委設置提案

トルコのエルドアン大統領が7日、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と、それぞれ個別に電話会談を行いました。

トルコ大統領府によりますと、エルドアン大統領はゼレンスキー大統領に対して「詳しい調査を行うために、ロシアとウクライナの専門家、それに国連とトルコなどが加わった委員会を設置できる」として、原因究明に向けた調査委員会の設置を提案したということです。
一方、プーチン大統領に対しても「包括的な捜査が行われることが重要だ」として調査委員会の設置に向けてみずからが調整役を担う考えを伝えたということです。

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は「ウクライナは西側の意向をくんで緊張を高める危険な賭けをしている」と主張したということです。

ゼレンスキー大統領は「ロシアのテロ行為による人道面や環境への影響などについて伝えた」とSNSで明らかにしていて、エルドアン大統領としては、みずから仲介に乗り出すことで事態の打開につなげたい考えとみられます。

ゼレンスキー大統領 動画公開で支援訴え

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、SNSで動画を公開し、水力発電所のダムが決壊して、大規模な洪水が発生したウクライナ南部では、軍などの活動でこれまでに2000人以上が救助されたと明らかにしました。

ただ、ヘルソン州のロシア側の支配地域について「状況は壊滅的だ。救助もなく、飲料水も食料も医療もなく、どれだけの人々が死ぬかもわからない」と述べ、ロシア側は民間人を救助していないなどとして、強く非難しました。

その上で「大規模な支援が必要だ。ICRC=赤十字国際委員会のような国際機関が、すぐに救助活動に参加し、ロシア側の支配地域にいる人々を助けることが必要だ」として、国際社会からの迅速な支援が必要だと訴えました。

仏マクロン大統領 ダム決壊による被災者支援表明

ウクライナ南部にある水力発電所のダムが決壊し、洪水が発生したことをめぐって、フランスのマクロン大統領は、ゼレンスキー大統領と電話会談を行い、ウクライナ国民への連帯の意向を伝えた上で被災者に支援を行う考えを明らかにしました。

フランス政府によりますと、浄水器や衛生用品、貯水タンクなどを緊急支援物資として現地に届けるということです。

また、ウクライナ大統領府によりますと会談で、ゼレンスキー大統領は、ダムの決壊は、ロシア軍の爆破による結果だと主張し、両首脳は、状況の調査に向けて、国際的な枠組みを活用する可能性を検討したということです。

ダム決壊 国連「食料安全保障に影響の可能性」

ウクライナ南部でダムが決壊し大規模な洪水が発生したことをめぐって、国連のデュジャリック報道官は7日、定例の記者会見で、国連機関が分析した現地での影響について明らかにしました。

それによりますと、水位の上昇が続き、浸水の範囲も広がっているとして安全な飲料水を入手できないなど、住民に深刻な健康被害が及ぶおそれがあるとしています。

また、FAO=国連食糧農業機関は「数千ヘクタールの農地が浸水し最近植えられた農作物にも大きな被害が出て、食料安全保障に影響を与える可能性が高い」と警告しています。

現地で活動する国連機関は、NGOなどと協力して、避難を余儀なくされた人たちに食料や飲料水を提供するなど、人道支援にあたっているということです。

ダム決壊 ウクライナ高官「生活台なしにした」

ウクライナで水力発電所のダムが決壊したことについて、ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は、ロイター通信へのインタビューの中で「われわれが背後にいたという非難があるが、それは物理的に不可能だ。決壊当時、私たちの軍隊も市民もその場にはいなかった」と述べウクライナ側の関与を否定しました。

そして、ダムの決壊はロシア側によって引き起こされたという認識を示した上で「ダムの下流に住む多くの人が頼りにしている施設の破壊だ。その人々の生活を台なしにしてしまった」と述べロシア側を非難しました。

また、このダムから冷却水の供給を受けるザポリージャ原子力発電所への影響について「冷却のための水は十分にあり、あと2、3か月は安全だ」と述べました。

一方、ロシア側が、ウクライナ軍が各地の戦線で反転攻勢を開始したと主張していることについて「それは真実ではない。いつ開始するかは、われわれの軍隊が、その時の前線の状況などを踏まえて決めることだ」と述べて否定したうえで「反転攻勢を始めたら、すべての人がわかるだろう」と強調しました。