ウクライナのダム決壊 ウクライナとロシア “相手の破壊工作”

ウクライナ南部の水力発電所のダムが決壊して大規模な洪水が発生したことについて、ウクライナとロシアは相手側による破壊工作だと主張し、双方の非難の応酬が続いています。国連の人道問題の責任者は「軍事侵攻が始まって以来、最も重大な民間インフラの被害だ」として市民生活への影響に強い懸念を示しました。

ウクライナ軍は6日、南部ヘルソン州のドニプロ川にあるカホウカ水力発電所のダムがロシア側によって破壊されたと発表し、地元の知事はおよそ1万6000人の住民が危険にさらされ避難を進めているとしています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日に公開した動画で「ロシアの占領軍はウクライナの土地で、ここ数十年で最大の生態系破壊の罪を犯した」と厳しく非難しました。

これに対しロシア大統領府のペスコフ報道官は6日、「ウクライナ側による意図的な妨害行為であり、ウクライナ政府の命令で計画され、実行されたものだ。その目的の1つはクリミアから水を奪うことだ」として、ウクライナ側を非難し、双方の応酬が続いています。

決壊の原因についてアメリカのホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、6日の記者会見で「現時点で何が起きたのかを確定的に言うことはできない。より多くの情報を収集するためウクライナ側と協力している」と述べるにとどまっています。

事態を受けて国連の安全保障理事会では6日、日本時間の7日、緊急の会合が開かれ、国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長が「去年2月にウクライナ侵攻が始まって以来、民間インフラの被害としては最も重大な事件になるだろう」と述べるなど、市民生活への影響に国際社会でも懸念が広がっています。